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2008年 3月18日
地球異変 足元から見つめる
茨城「脱温暖化 茨城発・次世代へ」
地球温暖化問題は、七月の洞爺湖サミット(主要国首脳会議)でも重要議題になるなど世界の関心事だ。連載は地域の視点から「脱温暖化」への取り組みを追う通年企画としてスタートした。
一月の第一部「迫る危機」(七回)は、足元に広がる温暖化の影響を取り上げた。筑波山山頂付近のブナ林。稚樹が少なく、樹齢百年以上がほとんどと衰退が目立つ。ブナは冷涼な気候を好むが、山頂の年平均気温はこの三十年で〇・三四度上昇。専門家は温暖化が進めば「世代交代が困難になり、絶滅する危険性がある」と警告する。
一方、県内では近年ツマグロヒョウモン、ナガサキアゲハなど南方系のチョウの目撃や採集が相次ぎ、昨年は関東南部以西に分布するクマゼミの定着も確認された。「七十年来、見たこともない波」と地元民が言う二〇〇六年十月の県沿岸部高潮被害などの異変も報告。
三月の第二部「企業戦略」(十一回)は、温暖化防止に向けて省エネなどで温室効果ガスの大半を占める二酸化炭素(CO2)の排出削減に取り組む県内企業に焦点を当てた。
住友金属鹿島製鉄所は高炉などから発生する副生ガスを100%回収して発電するなど「エネルギーを循環させ、極限まで使う」ことで粗鋼一㌧当たりのエネルギー使用量で世界トップクラスの省エネを実現。キリンビール取手工場は排水処理で出るバイオガスを燃料とするシステムを稼動させて電気と熱を供給、省エネにつなげている。神栖市の太平洋沖に日本初の洋上風力発電所建設を計画中の「ウィンド・パワー・いばらき」社の活動なども紹介。「県内に軸足を置きながら、持続可能な社会のために何をすべきかを伝えていきたい」と小沼平・報道部長。沼田安広・水戸支社編集部長をキャップに報道部や支社の記者らが取材班に加わっている。第五部までを予定。(審査室)