1. トップページ
  2. 刊行物
  3. 新聞協会報・スポットライト
  4. 子どもが危うい―窮状訴える

2008年 3月25日
子どもが危うい―窮状訴える

岩手日報「大人たちよ」

「子どもたちは、どんな場所でも何人でも遊びを編み出し、人間関係を学んでいった。(略)今、それが『つくられた遊び』でしか遊べなくなった」、「『子どもに良かれ』という『親心』が子どもの意思を軽視し、心を抑え込むことに気づかなかった」、「近所に頼れる友人や親類がいない時、母親が自宅という『閉鎖空間』で抱く孤立感やいらだちは、時として子への虐待というかたちで行動化する」。ドキリとする指摘が随所にある。

次代を担う子どもたちが危うい。激変する現代社会の影響にさらされ、ほんろうされ、心と体のバランスを崩す。豊かな自然と温かい人情にはぐくまれて育った「いわてっ子」も例外ではない。

その危機意識を大人たちに呼びかける企画は、一月三日から三月まで全五部、四十四回で終えた。プロローグ「子どもがあぶない」(二回)が朝刊一面ではじまり、第一部「いわてっ子の現場」(十回)から夕刊一面に移った。第二部「遊び学ぶ子どもたち」(五回)、第三部「困難と向き合う」(五回)、第四部「揺れる親、惑う社会」(十回)、第五部「いわてっ子のために」(十回)など。子どもの陥った窮状を訴え、大人の対応を問い掛ける。

子どもの友人関係も不安定だ。「背景に、子どもたちのコミュニケーション能力の乏しさがある。テレビやゲーム、ケータイ(携帯電話)などに長時間接触する『メディア漬け』の生活に原因が潜んでいる」とある。ネットを使ったいじめもある。

紙面批評欄に「『週末はお弁当を持って子どもと一緒に野へでかけよう』という気にさせる」とあった。編集局の川井博之報道部長は「子どもたちの今の思いを大人社会にどう訴え、発信していくかをテーマとした」という。報道部の四戸聡記者と写真は高橋照雄記者が担当。岩手の抱えた問題は全国共通でもあると気付かされる。 (審査室)

ページの先頭へ