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2008年 5月20日
地域で教育格差の解消目指せ
沖タイ「学力ってなに」
文部科学省が昨年、四十三年ぶりに実施して波紋を広げた全国学力テストが、今年も四月二十二日に行われた。
昨年の結果で小中学校の全教科が最下位だった沖縄県。「非公表」のはずの市町村、学校単位のデータが地域に伝わり、その衝撃は県民を大きく揺さぶった。不振の要因は。「学力」とは何なのか。元日からスタートした連載は、県外の事例や識者の意見を織り交ぜながら三十九回にわたって「学び」のあるべき姿を探った。
沖縄県は一九八九年から毎年、「基礎・基本の定着」を目的に小六と中二の全員を対象に国語、算数・数学、英語で「達成度テスト」を実施している。平均正答率の上昇という結果につながってはいたが、隣の学校・地域より一点でも上回るのだという意識が教育現場で働き、丸暗記式の「テスト対策」が横行している実態も浮き彫りに。
「達成度テストの功罪」の項では四回にわたり、ドリル学習の偏重や放課後まで使った「詰め込み」が、勉強嫌いや「学びからの逃走」を助長させた弊害に切り込んだ。
さらに文科省の有識者会議が効果的とした「習熟度別授業」が、子どもの間に「勝ち組、負け組」意識を生んでいることや、経済力、家庭環境など子どもの生活格差がそのまま教育格差につながっている現実を「進む二極化」で指摘。
このような"負の連鎖"を断ち切る必要性を強調し、保護者が授業に参加して教師を手助けするなど学校、家庭、行政が協働して学力格差解消に取り組んでいる福岡・筑豊地域の実情を紹介した。
「学力が一つの物差しで測れるのか」。平良武社会部長が連載を振り返るように、教育が抱える様々な問題は学校だけで解決できないことが伝わってくる。社会部・田嶋正雄、嘉数よしの記者が担当した。(審査室)