2008年 9月16日
あえぐ若者の働く現場から

北海道「ぼくらに、希望を」<

希望を持てない若者が増えている。低収入、不安定な暮らし。懸命に働きながら先が見えない。どうしてか、どうすればいいのか。年初から続く社会面連載は、北海道内の様々な現場であえぐ群像を追いながら考える。

第一部「それぞれの場所で」(一月)。ファッション界に夢を抱いた二十代女性は、勤めた洋服店で無給労働やノルマ強要のあげく上司の暴言で退職に追い込まれた。仕事には誇りを持って献身的に働く介護職員や保母の月収は十数万円。大学を出てから職探しに失敗し続け、アルバイトや派遣で何とかしのいできた四十歳男性は「もう、はい上がれない。ドアが閉じられてる感じ」という。

第二部「フリーターのたたかい」(同)は、労働組合をつくり深夜手当支払いを求めてたたかった居酒屋のアルバイト女性を、第三部「歌志内から」(三月)は昨春閉校した歌志内高校の最後の卒業生らが、過疎にあえぐ「全国一小さな市」で懸命に働く姿を追った。第四部「安全の値段」(五月)は労災に冷淡な企業を、第五部「会社とは」(六月)は、家族的だった地元企業が外資に買収されて利益第一主義に変わる様子を紹介した。

第六部は「派遣」(八―九月)。道内でも五万人を超えた派遣社員は、企業や官庁が必要な時だけ調整弁として使われる「いつでもクビを切れる安い労働力」だ。手取り月四十万円を稼ぐ三十歳のやり手派遣社員も「一生このままでいいのか。本当は落ち着いて働きたい」と正社員にあこがれる。

「構造改革や規制緩和が叫ばれる社会で、若者が今どういう状況に置かれているかを伝え、これでいいのかと訴えたかった」と村山健編集委員。連載の締めくくりには政策提言もしたいという。取材班は村山編集委員のほか報道本部・片岡麻衣子、生活部・町田誠記者ら。写真は北波智史記者らが担当。(審査室)

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