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2008年 10月21日
空母配備めぐる「共存」の実像
神奈川「『共存』の座標軸 原子力空母ヨコスカへ」
米の原子力空母「ジョージ・ワシントン(GW)」が横須賀に配備された。米原子力艦の日本配備は初めてだ。連載は九月九日からGWが米海軍横須賀基地に入港した二十五日まで社会面で計十五回。日米安保体制のもと、空母配備が象徴する「共存」の実像を追った。
一九七三年から続く横須賀への空母配備。四代目が原子力空母となったが、安全性に問題はないのか。誰もが抱く疑問に対して、連載は今年五月にGWで起きた火災事故や八月に明らかになった米原潜ヒューストンの横須賀基地などでの放射能漏れ事故、さらには二〇〇六年に起きた米原潜停泊直後の横須賀港内での放射性物質検出問題などを取り上げ、日米双方の対応を検証。米からの情報提供に依存し安全対策で消極姿勢が目立つ国や横須賀市と、地元との信頼関係を強調しながら軍事優先の本音ものぞかせる米側の姿を伝えた。
不安は周辺自治体も変わらない。葉山町長は「心配していないといったらうそになる」と明かすが、空母にかかわる情報は機密のベールに覆われ、手が届かないのが実状だ。
「基地の街」横須賀では米兵による犯罪が繰り返されてきた。市が実施した市民アンケートでは約六割が「犯罪のないまち」づくりを最優先課題に挙げ、その理由として「米軍基地の存在に不安を感じる」と答えた人が多い。一方で横須賀市は従来の基地・調整交付金のほか、今回の原子力空母配備で〇七年度からの十年間に七十億円を超す特例交付金を受け取る。
「原子力空母配備で、米の世界戦略の最前線を担う横須賀の基地機能がさらに強化された。大きな節目を考える手掛かりになれば」と渋谷文彦・報道部デスク。武田博音(報道部)、松崎敏朗、成田洋樹、高野学、田中大樹(以上、横須賀支社)の五記者が担当。(審査室)