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2009年 1月1日
暮らしや心情、さまざまに
秋田魁「家族の空間」
「家族の数だけ〝暮らしの空間〟がある」。そんな書き出しで〇八年初めから、くらし面で週一回一年間にわたって続けてきた連載が十二月に終わった。さまざまな家族の暮らしぶりや喜び、悩みなどを描き、家族の在り方にじっくり迫った。
第一部は「夫婦のかたち」(十一回)。消防署員と看護師という不規則勤務の夫婦は主夫と主婦を協力してこなす。国際結婚の夫婦は英国流に家族で過ごす日を決めている。不妊治療の末に体外受精で子どもを授かった夫婦の喜び、多胎児育児の苦労や心臓移植の子を支える夫婦なども追った。
第二部は「きずなを求めて」(十回)。死別や離婚で独り暮らしの中高年が増える中、交流の場づくりを目指すNPO設立の動き。里親やシングルマザーなどの複雑な思い。忙しい親代わりに孫育てする祖母。認知症の父や不登校児を抱えた女性。家族のきずなも多様だ。
第三部「障害とともに」(十一回)は統合失調症、学習障害、脳機能障害、性同一性障害などの息子や娘を抱えた家族の苦闘を追った。どの親も絶望と戸惑いを経験しながら子どもを懸命に支え、自立できる道を模索する。
第四部「ここに根を張って」(十回)は、地域に根付いた家族の姿。都会から田舎に移住して養鶏業を営む一家。曽祖父母、祖父母、父母と続く牧場で牛の世話を手伝う小学生の姉弟。四世代八人で山あいの集落に暮らす一家。父と娘が協力するお菓子屋さん。「家族のよさ」を実感する風景だ。
「家族にはさまざまな形があることを示し、家族とは何か考えてもらいたかった。何度も取材し、じっくり話を聞いてディテールを大切にした。こういう手法の記事が読者に読まれると感じた」と文化部くらし班キャップの渡辺歩記者。他に藤原謙、下村直也、三浦美和子、羽生恭子、佐藤勝、小松田直嗣記者が担当した。(審査室)