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2009年 9月8日
証言でつづる県教委汚職事件
大分合同「先生!」
教育界を震撼(しんかん)させた大分県教委汚職事件。贈収賄の罪で起訴された教員関係者8人全員の有罪が確定、刑事事件はすべて終結した。いま教職員は何を思い、どんな気持ちで子どもと向き合っているのか。関係者らの証言などで事件を振り返りながら、時代の波に翻弄(ほんろう)される教育現場を探る。
事件発覚から1年が経過したのを機に、6月から社会面で年間企画を開始。第1部は「悔恨」(10回)。懲役3年、執行猶予5年の有罪判決を受けた元県教委義務教育課参事「E」の証言から事件を解きほぐす。大分県を離れ友人の営む物販店で働いているE。元同僚Yの娘を2007年度の教員採用試験で合格させた謝礼として100万円分の商品券を手にした。「戸惑ったけど、つい、もらっちゃった」。一度受け取ってしまったら、次から断れなくなり、手にしたわいろは計610万円分に及んだ。熱血漢で児童と保護者、みんなから慕われていたE。「人間として絶対にしちゃいけんことを僕はした」。いまEは心から後悔している。
第2部(7~8月、20回)は関係者の証言でつづる「告白」。大分県選出国会議員の元秘書が語る教員採用の「口利き」の実態。当時は罪悪感もなく支持者の〝要望〟を教育委員会に伝達していた。「(口利きが)駄目なら議員はいったい、何の仕事をするかえ?」と平然と語る現職県議も。「教員採用試験で口利きをした人の合格率はざっと8割ぐらいか」と証言するベテラン市議の話は生々しい。
不正の幹を断ち切ろうとした教育長もいた。だが「異質」としてはじき出され、不正の根を枯らすことはできなかった。
「関係者のナマの声を伝え、教育現場の改革につなげたい」と清田透社会部長。同部記者が総掛かりで取材に当たり、今月掲載の第3部では事件の背景に迫る。(審査室)