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2009年 9月29日
動植物が見つめる「環境異変」

福井「生きものたちのSOS」

地球温暖化、外来種の侵入、農薬や乱開発。さまざまな要因が絡み合い、自然環境が豊かといわれる福井県でも生きものたちが悲鳴を上げている。「ふくい環境異変」を副題に1月開始の連載は1面で擬人化した動植物の〝声〟を伝え、3面で現状や課題を掘り下げていく。冬、春、夏の3編から福井特有の動植物の声に耳を傾けてみよう。

「ボクらは滅びるのを待つだけなの?」。南越前町の山の上にある夜叉ケ池から、水生昆虫ヤシャゲンゴロウの悲痛な声が聞こえてくる。ここは世界で唯一の生息場所。ハイカーが池で食器や手を洗ったり、ごみを投げ捨てたり、生息環境は悪化する一方だ。奥越の山では地球上でここだけというエチゼンオニアザミが「私たちの光をさえぎらないで」と訴える。温暖化で気温が上昇すると繁殖力の強いササがはびこり、葉が日光をさえぎって成長を妨げてしまう。

大野市のわき水にはイトヨが泳ぎ回る。多くの家庭がわき水を暮らしに利用する地下水だが、近年は水位低下が顕著で、イトヨがすめる清水は数えるほどになった。「ボクらが姿を消したら、大野の人たちの暮らしはどうなっているだろう」

アベサンショウウオは福井や石川、京都、兵庫の限られた場所でしか見つかっていない。人里近くに暮らし、宅地造成やゴルフ場開発などの影響をまともに受ける。マニアの採取も多く、越前市白山・坂口地区は住民ぐるみで監視活動を続ける。「ワタシたちの生存を脅かすのも、救ってくれるのも人間たちね」

SOSは10月の「秋」で最終編。福井新聞は今年から、子どもたちに豊かな自然を残そうと「みらい・つなぐ・ふくい」キャンペーンを展開しており、出浦孝輝報道センター長は「いろんな世代の人たちが環境問題を考えてほしい。今後も角度を変え連載などで追っていきたい」と語る。(審査室)

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