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2009年 10月20日
食から探る「自立した暮らし」

熊本日日「ジキュウ」

食の「自給」、暮らしの「持久」、生き方の「自救」をキーワードに、未来につながる「自立した暮らし」を求める人と地域を年間企画で探っている。

第1部は、コミュニティー再生に取り組む地域や、異郷に飛び込んだ夫婦の挑戦などを追った「あまくさ的暮らし」(2月、5回)。八代海を望む天草市・金焼港前のレストランは30~70代の主婦グループの経営だ。熊本県は農村で女性が起こしたビジネスの数で全国第2位。「手作り母の味」でもてなす食材は、休耕地で栽培した野菜と、港近くで釣り上げた魚。地産地消を実践する。

千葉県から移住した中高年夫婦は「終(つい)の棲家(すみか)」と決め、農業で生計を立てる持久ある暮らしへ踏み出した。地域とも触れ合う暮らしに「本当のぜいたく」を実感させる。

第2部「しまぐにの縮図」(4月、5回)の舞台は上天草市の離島・湯島。特産品の湯島大根が主役となる。ホテルのレストランでグラタンやミルフィーユなどの料理に生まれ変わる。大矢野町の和食料理店では名物の「湯島大根ステーキ」となる。食材を作る人、料理する人の輪に、湯島の内と外で支えられる食の「ジキュウ」を見る。

全国トップレベルの有機農業の里・山都町の特産品「猪(いの)・鹿(しか)・鳥(ちょう)カレー」は、地元矢部高の生徒らが開発した。「増えすぎて駆除されたイノシシやシカの肉が売れず、どうにかしたい」と、身の回りの〝無駄〟に疑問を持った。その解決への試みが、地域の暮らしや農業と消費者のかかわりを見直すきっかけとなる。第3部「共生への道標」(7月、7回)では、自然と共に生き、物を無駄にしない循環型社会へのヒントを探っている。

「命の糧である食を通して、生き方を問い直してみた」と狙いを語る暮らし情報部・山口達也次長。飯村直亮、峰村清子、久間孝志記者が担当した。(審査室)

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