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2009年 10月27日
現場に見た農家の努力と工夫
山形「食と農を問う」
副題は「やまがた―現場を見つめて」。食と農の現場を訪ね、特産品を支える農家の努力や工夫、地域の結び付き、市場の評価などを探る大型ルポ。4月から毎週日曜1ページの特設面で展開。ホームページでルポ現場の動画も掲載している。
三大和牛とも称される米沢牛の肥育・繁殖農家。ブランドを支えるのは牛飼いの愛情だ。毎朝牛舎を回って牛の顔色をうかがい、体調を示す鼻のぬれ具合を確認する。「気配りを怠れば、良い牛だってだめになる」からだ。高齢化で畜産農家は減っているが、規模拡大や企業化などで産地を守る。
県が10年かけて育てたコメの新品種「つや姫」が、来秋の本格デビューを前に今月から先行販売された。東京では吉村美栄子知事も店頭でトップセールス。「銘柄にこだわりを持ってコメを選ぶ40代から60代の主婦」をターゲットにする。県の委託を受け栽培する鶴岡市の農家は、「将来は、コシヒカリに負けない山形のブランドとして高値がつくようなコメにしたい」。
日本一の生産量を誇るサクランボだが、ミツバチの減少で今年は人工授粉が目立った。養蜂(ようほう)業者は「子々孫々にミツバチが飛び回る自然環境を残したい」と植林活動に取り組む。サクランボ農家も栽培技術の向上、分業の徹底、もぎ取り体験観光など、生産量や品質の維持、需要開拓などの努力を怠らない。
このほか、尾花沢スイカ、置賜のデラウエア、鶴岡のだだちゃ豆、東根の黄金桃、朝日町リンゴなどの生産現場を訪ね歩いた。「農」に続いて「食」の検証もしていく。「農業は山形の中心産業。これからもそうあるべきだが、その現状はどうなっていて課題は何なのか。まず現場に密着して取材するところから提示していければと考えた」と佐藤秀之報道部副部長。取材班は佐々木亨キャップ、鈴木雅史記者ら報道部と支社の8人。(審査室)