2009年 11月3日
祭りで活力 諏訪人の心意気

長野日報「響け 御柱」

長野県の諏訪地方は6年に1度、地域を挙げて熱く燃え上がる。諏訪大社の式年造営御柱大祭、通称「御柱祭」だ。不況を吹き飛ばそう。諏訪をもっと元気に。来年4月からの本番に向け、氏子らの気持ちはこれまでになくわき立っている。4月から月1回ペースの連載が、そんな諏訪人の心意気を伝え続ける。

諏訪大社は上社と下社に分かれ、諏訪市に上社本宮、茅野市に上社前宮があり、下諏訪町に下社の春宮と秋宮がある。下諏訪町の国有林で5月、下社の御柱用材としてモミの巨木8本が古式にのっとって伐採された。「伐採は奉仕作業。御柱になるよう、きちんと伐採するのが私たちの役目」。氏子たちは厳粛な面持ちで口をそろえる。上社では6月、立科町の国有林などで御柱用材を選ぶ「本見立て」。宮司が邪悪な汚れを清める神器「薙鎌(なぎがま)」を打ち込み、8本のモミの木は御神木になった。今回は地元の若者たちが「先輩たちが築き上げた伝統を守ろう」と薙鎌作りに立ち上がった。

岡谷市上浜区では来年3月に迫った区内の小宮御柱祭に向け、伐採から御柱建てまで「自分たちでやろう」と氏子たちが練習を重ねている。

観光客誘致にも力が入る。諏訪地方観光連盟は祭りの期間(4月1日~6月15日)を中心に「通年型」を目指す。キーワードは「おもてなし」。諏訪市の市民団体は諏訪6市町村に住む中国人やフランス人、ブラジル人らに呼び掛け母国語ガイドを養成中。茅野市の公園には御柱祭の見どころの一つ、「木落とし」の観覧席が初めて設けられる。

報道部を中心に取材班は8人。紙面の上半分を使い、食、グッズなど「御柱あれこれ」を載せて読者の興味を引く工夫も。不況で暗い話題が多い中、連載は「〝オラが祭り〟を誇り高く、大切に守り続けている諏訪への応援歌」(宮坂康弘報道部長)である。(審査室)

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