1. トップページ
  2. 刊行物
  3. 新聞協会報・スポットライト
  4. 虐待どう防ぐ、みんなで考えて

2009年 11月17日
虐待どう防ぐ、みんなで考えて

徳島「家庭の中の暴力」

夫が妻を、親が子を、あるいは子が親を。徳島県内でも増えている家庭内暴力はなぜ起こり、どうすれば防げるのか。ドメスティック・バイオレンス(DV)、高齢者虐待、児童虐待の順で、文化部・多田さくら記者が暮らし面で取り上げた。

4月に4回でまとめたDV。暴力的行為のきっかけは、配偶者の肉親とのトラブル、アルコール依存などさまざま。直接暴力を受けなくても、目撃しただけで虐待を受けたのと同じ症状を示す子もいる。被害を繰り返さないためには、加害者側の更生プログラムも大事だし、暴力容認の風潮をなくす教育、啓発が不可欠と関係者は訴える。

高齢者虐待(6月、4回)では、夫に先立たれた80代女性が寝たきりに近い状態になった後、家族が部屋に寄りつかなくなり、食事は1日2回、部屋の前にぽつんと置かれるだけになったケースなどを紹介。「面倒を見てもらっているのだから」「自分が育てた子どもだから」と、当事者の間で閉じこめられてしまう虐待が多いこと、それを防ぐ地域のネットワークの重要性を強調した。

児童虐待(9月、5回)では、近年目立つネグレクト(育児放棄)を重視。背景にリストラや借金などの経済状況もあるが、「人とのつながりや生活体験の少なさなどあらゆる意味での貧しさを感じる」という児童委員の声が重く響く。

反響は大きく、それぞれ2回ずつの番外編としてまとめた。県央の60代女性は、夫から受けた心の傷は夫が死んだ今も消えないと訴えた。「他人が怒られているのを見ただけで、体が震え、その場に立っていられなくなる」

識者の意見など「連載を終えて」を10月、3回。「一人一人が考え続けること」と締めた多田記者は「家庭内だけではない、私たちみんなの問題だから」と語る。(審査室)

ページの先頭へ