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2010年 1月26日
転機迎える「食料供給基地」

南日本「かごしま食農維新」

「日本の食料供給基地」を掲げている鹿児島県の農林水産業の現場が転機を迎えている。その背景と針路を昨年3月から11月まで4部にわたる1面などの連載で探り、2月からの第5部に続けていく。

第1部の「『畜産王国』はいま」(3~4月、9回)は、粗飼料までをも輸入に頼り、ひとたび問題が起きれば、足元が揺らぐ脆弱(ぜいじゃく)な基盤の上に成り立つ「畜産王国」なのだとの実態が浮き彫りになる。また消費者の健康志向や景気低迷を背景に、牛肉の「霜降り神話」が揺らいでおり、「おいしい赤身がとれる黒牛づくり」への転換も促す。

第1部「流通の現場から」(6月、7回)は、農産物流通をめぐる環境の変化を探る。高値で売れるメリットから大消費地向けの販売戦略がとられ、野菜出荷の7割以上は県外向けだった。だが市場ごとの価格の差が縮小したいま、量の確保を目指した青果物流通は「質」を重視し、生産者ごとの顔やこだわりが伝わる直売という流れを生み出している。

第3部は「就農ギャップ」(8月、7回)。雇用の受け皿として農家が注目を集めるが、理想と現実のギャップに就農者は戸惑う。その溝をどう埋め、将来の活力につなげるかの方策を探った。第4部「キビの島々から」(10~11月、7回)では、サトウキビを通じ、離島農業の将来を展望した。

元日紙面では「『気候がおかしい』産地からの証言」を1ページで特集。海中に南方系の魚が目立ち、ソラマメ畑ではカルシウム欠乏が影響する種皮の「しみ症」被害が長引くなど、温暖化の影響をリポート。第5部は農漁業分野の新展開を紹介。

「農林水産業は県の基幹産業。新しい動きを発信したい」と國弘崇政経部副部長。同部取材班の門田夫佐子、児美川勝記者らが担当。(審査室)

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