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2010年 6月29日
まちづくり参加へ手がかり
宇部「検証・古里の課題と総合力」
高齢化と人口減少に悩む地域社会。瀬戸内海に臨む山口県宇部市や山陽小野田市周辺も例外ではない。地域の活力をどう取り戻すか。5月からの1面連載は、人材をはじめ様々な地域資源の現状を総点検し、まちづくりに生かす道を探る。
第1章は「文芸のまち」(5月、8回)。小説から詩、短歌、俳句、川柳まで両市内には多くの文芸グループが活動する。宇部市内唯一の文芸誌「飃(ひょう)」は地元高校教師らが1976年に創刊。小説や詩、随想を中心に34年間に83号を発行した。メンバーは中央の文芸出版の商業主義を懸念。地域に根ざした「読者目線」を大切にする。
市内にはプロの作家らも住む。広島友好さん(45)は受賞歴もある劇作家。「方言を扱う作品が多いため、書くエネルギーを地方からもらっている」。ただ、短歌や俳句を中心に会員の高齢化が悩み。山陽小野田市内の川柳会は会員数が最多時から半減、平均年齢は80歳に。このままでは地域の文芸の灯が消えてしまいかねない。来年度から小学校中学年の国語に俳句や短歌が復活するのを機に、若い世代への継承を目指す動きもある。
第2章は「犯罪のないまち」(6月、8回)。地域の絆(きずな)が弱まるにつれ増え続ける110番通報。宇部警察署管内では昨年、県内で2番目に多い1万2千件に上った。少年の万引きや交通事故、振り込め詐欺などの域内実態を紹介。治安情勢悪化の中で「住民による犯罪抑止活動の役割が増している」と呼びかけた。
「読者がまちづくりに参加する手がかりになれば」と神谷義人編集局長。1章は自らも詩を書く永富衛記者が担当。50団体・グループを取材した。2章は警察担当の原田宏一記者。3章は子育てをテーマに7月の掲載予定。あと8人ほどの記者が担当分野ごとに年内、書き継ぐ。(審査室)