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2010年 7月20日
「追い風が吹いている」と知事
静岡「静岡空港の課題」
地方空港の経営がますます厳しい中、 富士山静岡空港は6月4日、開港1年を迎えた。1年間の利用者は60万人、空港本体の赤字は4億8千万円、ターミナルビルの経営会社は138万円の赤字だった。利用者を増やすため何をなすべきか、現状を報告し課題を探る企画で、5、6月、主に1面で5回連載した。
ビジネス客は伸び悩んでいるため、海外からの観光客に頼らざるを得ないのが現実。しかし韓国や中国からの客は、伊豆よりも山梨県・富士五湖方面に流れているようだ。静岡は単なる「通過県」になってしまうという危機感は強い。伊豆シャボテン公園(伊東市)の関係者が中国各地を訪れて新しい観光ルートを提案し、7市6町でつくる伊豆観光推進協議会は中国のテレビの観光PR番組づくりに協力している。県内の物流商社が設立した航空会社、フジドリームエアラインズは静岡空港が拠点。長野県の松本空港発着便も含め今は3機で9便(往復)を運行する。搭乗率65%が目標だが、実際は50%。今秋、4機目を導入する。鈴木与平社長は、空港の運用時間延長や着陸料の一層の減免を県に求めている。
開港から9か月でビジネスジェットや小型機の着陸申し込みは475件あったが、その3分の1は駐機場に空きがなくて断った。このため県は赤字にもかかわらず、今後2年で6億4千万円を投じ三つの駐機場を増設する。今のところチャーター便は好調だし、中国人へのビザ発給条件緩和で観光客の増加も見込める。貨物便はこれから。川勝平太知事は「追い風が吹いている」と強気だ。
地方空港が抱える困難と希望を多角的に描いたが、「県民の財産としてどう活用するかという視点を大事にした」と橋本和之政治部副部長。川北楽人、萩原正司、森下俊一記者が担当した。(審査室)