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2010年 10月19日
「秋田に元気を」願い込めて
秋田魁「ここに生きる」
全国で最も速いテンポで人口減と少子高齢化が進む秋田。若者は県外に流出、集落にはお年寄りが目立つ。地域全体が活気をなくす中で、社を挙げて「秋田げんきプロジェクト」を展開、メーンの連載を8月から始めた。
9月末まで第1部「幸せですか」を20回掲載、人々の日常を追いながら秋田に暮らす幸せとは何かを考えた。毎回1面から3面に展開、大ぶりな写真に全文横組みのレイアウトが目を引く。文章も登場人物の語りを一人称で記述、見出しも言葉をそのまま抜き出し、それぞれの思いを伝えた。
ブラスバンドの部活を続けながら進路に迷う高3女生徒。秋田を出るか出ないか決めかねているが「県外に行ったとしても、いつか秋田に帰ってきたい」。集落唯一の小学校の廃校を寂しく思いながら「助け合いのきずながある。簡単に離れるもんか」という老夫婦。県外から4年間学んだ女子大学生は「秋田への感謝は忘れることはない」。
「小さな自転車屋」「素潜り漁に懸ける男」「温泉郷の頑張るマン」「養蜂に挑む県庁OB」「両親介護へUターン」「表現し続ける88歳」「トマトに生きる24歳」など多彩な人々の共通点は、秋田を愛し懸命に生きている姿だ。開拓農家に嫁ぎ苦労を重ねてきた81歳の女性は「自分は幸せ者だ。荒れ地だったこの土地が夢をかなえてくれた」と振り返る。家族全員でUターンした34歳の女性は、東京で暮らしていても「心の中で秋田を誇らしく感じる自分がいて」決意した。
「秋田を元気に、という願いがすべて」と船木保美・報道センター長。横組み紙面は実験的に試みたが「案外抵抗感なく受け入れられている」という。第2部以降も、元気がもらえるような人々を紹介していく。報道センター各部の記者を総動員している。(審査室)