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2010年 11月9日
厳しい農業の現実、前向きに

茨城「食農ルネサンス」

農業の現実は厳しいからこそ「復興(ルネサンス)」を描く意味があると、1月に1面スタート。農と食に明るく取り組む人々にスポットライトを当てた。

第1部「新たな農力」。農業をしようと首都圏から茨城県に移り住む人が増えている。都竹(つづく)大輔さん(37)は那珂川沿いを車で走っていて景色に感動し、「絶対、ここで農業をやる」と決意。地元のイチゴ農家で1年修業し、今、イチゴ農園3年目だ。鉾田農高卒で就農する生徒は極めてまれ。しかし「僕はやる」と宣言した田山充芳君(18)はメロンなどを作る父親の跡を継ぐ。農家にバイトの学生を派遣する「筑波大学農業ヘルパー派遣会社」もユニーク。時給850円、夏の繁忙期には月延べ150人の学生を派遣する。

第2部「むらの今」は常陸大宮市諸沢を取り上げた。最奥地の日向地区で独り農業を続ける菊池光男さん(82)は不思議と明るい。「ここはいいところだよ。不便なだけ」。94歳の小林ヤエさんも「まちは物騒」。4年前、千葉県から移住した大森利夫さん(62)は12頭のヤギや鶏、犬に囲まれ、春には釣りやチョウの採集と四季を楽しむ。「泊まりに行きたい」と言う友人が多すぎて順番待ちしている。

第3部「食のきずな」ではおっぱいの話。母親が辛い物や脂っこい物を食べると、赤ちゃんはおっぱいの味に顔をしかめたり吐き出したりする。この取材は子供を持つ女性記者。第5部「再生へ挑む」では「ウーフ」という仕組みを紹介した。農作業を体験したいウーファーが、農家に泊まり込んで仕事を手伝う代わりに宿泊と食事が無料、家族同然の扱いに静かな人気で農家を渡り歩く「農の旅人」も。報道部経済グループの松田拓朗キャップは「心を豊かにもするのが食事、食を支えるのが農業、両方を前向きに描いた」。取材記者は約10人で、12月に第6部を予定。(審査室)

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