2010年 11月24日
輸出振興に可能性求めて

山形「海外に挑む―県農業の新戦略」

国内市場の縮小や価格低迷で農業を取り巻く環境が厳しくなる中、海外市場の重要性が増している。農業県・山形でも輸出振興は大きな課題だ。「新たな可能性を求めて―県産農産物の海外戦略」を今年の社の事業に掲げ、現地取材による報告を1面と社会面に掲載した。

第1弾(8月)は「香港・マカオ編」。スーパーや百貨店などで日本の食品が浸透していることを実感。価格は高いが安全でおいしいと評価され、「本物を求める香港人向けに確実なマーケットがある」。今年の山形フェアには県内25社が出展して実演販売を展開した。マカオにも山形牛が今年初めて輸出され、特上品として関心を集めている。

第2弾(10月)は「中国・タイ編」。山形県は来春ハルビン市に海外事務所を置く方針だ。北京や上海に比べ市場は未成熟だが、それだけに可能性は大きい。「山形食品フェア」が尖閣問題の影響で中止となり、貿易障壁などの現実も厳しいが、これからが販路開拓の勝負だ。タイは県産農産品の輸出先として台湾、香港と並ぶ第三の柱。消費力は伸びており、「まだまだ売り込む余地がある」。

第3弾(11月)「ロシア編」は、極東のウラジオストクやモスクワなどを取材。大統領の北方領土訪問など懸念材料はあるが、極東では日本製自動車が目立ち、モスクワには600もの日本食レストランがある。「日本の食品を扱いたい」との声も聞き、親日ぶりも肌で感じられた。有望な大市場だが、北海道や新潟など先行他県に比べ山形の取り組みはこれからだ。

「今後の農業は外にも目を向けていかねば立ち行かない。簡単ではないが取り組んでいく必要がある」と丹哲人・編集局次長兼報道部長。12月にはシンポジウムを開催する。海外取材は報道部の長岡伸明、野村健太郎、佐々木亨記者。(審査室)

ページの先頭へ