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2011年 2月8日
夢描くシマンチュの物語
沖タイ「島人夢人 オキナワン・ドリーマー」
伝統芸術、文化、社会福祉、教育などさまざまな分野でこだわりを持って、夢を求め、夢を与える活動に取り組んでいる島人(シマンチュ)の姿からは、沖縄の活力が伝わってくる。
昨年7月から毎週日曜日に社会面で続く連載は琉舞、組踊、歌舞劇など琉球芸能で名子役として演じている比嘉克之君(9歳)が放つ輝きから始まる。演劇「椎(しい)の川~じんじん」に抜擢された比嘉君は、紙おむつをしたまま3歳で二才踊「高平良万歳」を舞った。演出家は「こちらの指示に的確に反応する。大人の役者が見習ってほしいほど見事だ」と絶賛する。比嘉君は、「夢は人間国宝」と言い切る。
昨年末のNHK紅白歌合戦に初出場した5人組の人気バンドHY(エイチワイ)の紅一点、ボーカルの仲宗根泉さん(26)が登場したのは昨年8月。沖縄戦を踏まえて書き下ろした新曲「時をこえ」の誕生秘話を語る。夢や恋など、若者に身近なテーマを紡いできたHYだが、仲宗根さんは「いつか沖縄のことを書きたかった」という思いを心に秘めていた。平和の意味を身近な「命」に引き寄せる歌詞にある「誰かに伝えなきゃ/僕らが伝えなきゃ」は、仲宗根さんの決意でもある。
年明けの22回目に登場した平良美由紀さん(44)は宮古島警察署の少年補導職員だ。不良行為で補導された少年たちと正面から向き合い、じっと話に耳を傾ける。伝える言葉は「信じているから」。平良さんはこの仕事をして「自分が悪くなろうと思っている子なんていない。ただ、居場所がないだけなんだ」と実感した。
「困難な時代に類例のない活動をしているシマンチュの物語をじっくり読んでもらいたい」と、特別報道チーム担当キャップの上間正敦記者。編集局各部から10人の記者で担当。(審査室)