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2011年 2月22日
過疎集落の前向きな人々
日本海「ムラ群像・中山間地域最前線」
人口が59万人を割り込んだ鳥取県。県面積の9割を占める中山間地域で過疎と高齢化が急速に進む。このままでは地域の生活や文化、自然までが崩壊しかねない。昨年秋から1面の年間企画で、住民らの活性化の取り組みを掘り起こし、地域再生への道を探っている。
第1部は「地域を支える」(昨年10月4回)。地元の会社や住民組織、行政の新しい試みを紹介した。中国山地の真ん中、江府、日野町などの過疎集落には移動販売車が巡る。農協の店舗撤退を受け、有限会社が冷蔵庫や商品棚を備えた「移動店舗」を運行。鮮魚や日用品など800品目を販売する。
「これだけが楽しみ」と一人暮らしの女性(85)。お客は自家用車を運転できない70、80代の〝買い物難民〟が大半だ。それでも会社は大手コンビニとの提携など独自の工夫で黒字を維持する。
県西部などでは従来の町内会とは別に新しい住民組織が誕生。農産物加工や都市住民グループとの交流に取り組む。鳥取市など自治体が地区ごとに担当職員を配置、きめ細かな支援を試みる動きも相次ぐ。
第2部「ブランド創出」(1月5回)は地域資源を生かした特産品づくりがテーマ。伯耆町では住民らで仕込む「どぶろく」がヒット、注文に生産が追いつかないほどの人気だ。八頭町の農事組合法人はハトムギを栽培、レトルトのかゆを売り出す。日野町の女性グループは正月や祝い用のもちを主力商品に販路拡大に動く。三朝町では集落住民が米作のほかイノシシなどの燻製(くんせい)づくりにも乗り出した。
「地域住民がいかに前向きに取り組んでいるか紹介したい」と森原昌人編集制作局長。農政担当の川口耕、高﨏(たかさこ)正範、真田透記者を中心に2部は井川広志記者も加わった。6部までの予定で、3部は公共交通をテーマに3月掲載予定。(審査室)