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2011年 3月15日
ワハハで生きる人生模様
中日「笑いの力 福井を癒やす」
暗い世相を吹き飛ばし人々に元気を与える「笑いの力」。明治期の西洋奇術師・松旭斎天一や、しゃべくり漫才の革命児・花菱アチャコを生んだ福井から、笑いと生きる人生模様を1月に9回、福井版トップで届けた。
落語家の桂三枝さんは鯖江市のアマチュア女性落語家、街道徳尾さんのことを忘れない。十二指腸がんで余命1年未満と告げられてから落語に打ち込み、3倍近くを生き抜き、昨年5月に39歳で亡くなった。片道3時間かけて大阪の天満天神繁昌亭の落語講座に通い、三枝さんから「一日でも長く笑って過ごせるように」と天神亭楽々の芸名をもらっていた。「落語は心の支えであり、生きる糧だ。いつか私の命の灯が消えても、多くの人の記憶の中で生き続けたい」。街道さんはそう書き残している。
若狭町三方地域の女性6人でつくる「笑福一座」は笑いを通じ交通ルールを教える。浦島太郎をもじった演目「浦島次郎」では、カメをいじめているのが、携帯電話しながら運転する暴走族といったアイデア豊富な設定で、敬老会の行事や小学校などで大受けだ。同町のJA女性部の漫才コンビは地域の人気者だし、コミュニティーFM社員と左官業が組んだお笑いコンビは敦賀市を拠点に地元発信の笑いに挑む。
風船を使ったバルーンアートで子どもたちを笑わせる小浜市の調理師専門学校教員や福井市の公民館主事がいる。鯖江市河和田小学校には、児童が狂言の楽しさを体験する「ふるさと狂言クラブ」があり、平均75歳の女性グループ「おばばの会」に指導を受ける。地区の歴史や地名を織り交ぜた劇は年齢を超え、笑える。
「生きる糧を笑いに見つけた人を紹介し、癒やしにつながれば」と嶋津栄之・担当デスク。福井支社報道部などの8人が担当。(審査室)