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2011年 5月10日
郷土の伝統・文化を再発見
山陰中央「石見活性化キャンペーン企画―明日へつなぐ」
島根県西部の石見地方は深刻な過疎・高齢化が進む。公共事業が激減、地域を支えてきた農林水産業も衰退の一途だ。郷土の伝統・文化など地域を再発見することで元気を取り戻せないか。毎週月曜の企画総合面で再生の道を模索する人々や団体に光を当てる。
第1部「石見神楽」(昨年10~11月)は郷土芸能の活用で地域おこしを目指す試みを紹介した。大蛇退治など勇壮華麗な舞や衣装が石見神楽の特徴。50もの神楽社中が活動する浜田市は官民でまちづくりに生かす。スサノオノミコトなど神楽の登場人物をデザインした石像やアーチを町中に設置。駅前商店街では毎年夏に神楽公演を開催、にぎわいを生み出す。市内の道の駅では大蛇の人形付きストラップなど商品開発にも力を注ぐ。
第2部は「銀山街道」(昨年11月~1月)。世界遺産の石見銀山から中国山地を越え瀬戸内に銀を運んだ古道だ。地元の市民グループらが観光や地域振興に生かす地道な取り組みを描いた。隣の広島県観光連盟も巻き込んで広域で観光振興を目指す動きもある。
第3部「郷づくり」(1~3月)は浜田市山間部の限界集落が舞台。島根県中山間地域研究センターが派遣した若手スタッフと地元住民が連携して集落再生に取り組む。地元の米や野菜をトラックに積んで市中心部の団地で「軽トラ市」を開催。高齢者世帯の人気を集める。目指すのは都市から中山間地への人口還流を図る「郷還(さとがえ)り」だ。第4部「開拓者あの時」(3~5月)は地元産品の開発や農業経営などで活躍する人物を紹介した。
「がんばる石見人を紹介することで元気を呼び戻したい」と西部本社(浜田市)の中山竜一報道部長。管内6拠点の記者11人を総動員して連載する。数年がかりの企画で、5月の第5部は環境を生かした地域振興を考える。(審査室)