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2011年 7月12日
1世紀を経て名所を巡る
上毛「観光100年―ようこそ上州へ」
101年前の1910(明治43)年9月、群馬県主催の「一府十四県連合共進会」が開催された。地方産業振興のため農工業の技術や産物を展示・品評した博覧会的な行事で、このとき刊行された「群馬県案内」は同県の地誌、観光名所などを紹介したガイドブックだ。
1世紀を経た7月1日、大型観光企画「群馬デスティネーションキャンペーン(DC)」が9月末までの日程で開幕した。県とJR6社共催で群馬をPRするイベント。これを機に1月から始めた連載は「群馬県案内」に記されたスポットを毎回1か所ずつ巡り、100年の歩みを振り返ってその魅力を紹介してきた。
最初は「臨江閣」。別館の貴賓館は共進会開催に合わせて落成、「案内」に「真(まこと)に市内建築物中の偉観」と評された。前橋市は空襲で焼け野原になったが臨江閣は免れ、戦後は市庁舎にも活用された。今も100年前と変わらぬ前橋のシンボルだ。
八ツ場ダム問題で揺れる「川原湯温泉」は、「案内」では年間の温泉客3万人以上と紹介されている。最盛期20軒以上あった旅館は今5軒が営業するのみだが、代替地で再出発を目指す決意だ。
伊香保・草津・四万温泉や高崎・前橋公園、榛名湖、赤城山から佐野の渡り、岩神の飛石、歩兵第十五連隊、吹割の滝、茂林寺、少林山達磨寺、神津牧場、塩原太助、桐生織物市場、お角桜、金山城址(し)、新島襄旧宅など、名の知れた場所から地元の名所まで多彩。「案内」の挿絵や写真を毎回載せ現在と比較している。
3月8日の31回「神明宮」後に東日本大震災で掲載を中断、5月22日「土師(どし)神社」から再開し50回を超えた。「大震災で落ち込んだ観光客がDCで回復してくれればと願っている。紹介した場所の経緯を知って訪れてもらえれば幸いだ」と統括デスクの富田充慶報道部次長。(審査室)