2011年 11月8日
厳しい想定で備える

四国「巨大地震そのとき香川は」

近い将来、必ず起きるとされる南海地震。だが、瀬戸内に面した香川県では切迫感は薄かった。いま発生したらどうなるのか。津波は本当に大丈夫か。東日本大震災の惨禍を目の当たりにした今、見直しを迫られている。東海、東南海地震も連動する最悪の事態を想定、被害と備えを点検する。

1面連載の第1部は「被害・混乱」(9月7回)。かつてない揺れや津波の被害を予想した。1946年の昭和南海地震では県内震度推定5、死者52人、家屋の全半壊3千棟。だが、次回の予想は震度6強、死者188人、全半壊2万2千棟近くに。建物被害の4割は高松市に集中する。「常備消防では予想される被害に対応できない」と市消防局。

県の想定では津波による「死者ゼロ」。だが、県内で最大1.9メートルの津波が襲うさぬき市志度湾でも被害は「具体的にイメージできていない」(漁協)。市は「想定される浸水の深さよりも高い場所へ逃げてと呼び掛けるしかない」という。海際に立つ市庁舎は1階に浸水の恐れもある。臨海部中心に水没や液状化、交通マヒなどの被害も想定を上回るかもしれない。

香川ではため池の決壊も心配。県内1万4千か所の大半は堤防強度さえ分かっていない。東日本大震災では福島県須賀川市の貯水池が決壊した。国内最大級の満濃池はどうか。「いまの耐震基準でみるとぜい弱」と地元まんのう町。決壊すれば被害は計り知れない。

10月下旬からの第2部「備え・防災」(12回予定)は行政や企業の取り組みを紹介。発生時の高松空港やJR四国の役割、対策なども点検している。

報道部遊軍班の黒島一樹、広瀬大、八塚正太記者が担当する。「不安をあおってはいけないが、厳しい想定も必要」と黒島キャップ。11月下旬からの第3部では家庭や個人の視点から備えを考える。(審査室)

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