2012年 1月1日
暮らしやすい地域づくりを

秋田魁「老いと向き合うあきた高齢化率全国一」

2010年国勢調査で、秋田県の高齢化率は29.6%と全国一になった。やがて5人に2人が65歳以上の高齢者という時代が来る。こうした中で、高齢社会を支える新たな仕組みも模索されている。10、11月と社会面で12回、老いと向き合う連載を展開した。

深刻化する「老老介護」。介護する側が一人で抱え込み、孤立してしまうという問題があり、高齢者世帯とつながり続けることが、行政、地域の大きな課題だ。一人暮らしの高齢者世帯では生活状況を誰にも相談できずにいるケースが目立つ。由利本荘市では、閉じこもりを防ぎ、心身の健康づくりを進めようと市の保健師らが一軒一軒を訪ね歩いている。

横手市のショッピングセンターが9月から、高齢者ら「買い物弱者」を支援する取り組みを始めた。地区により月2~4回、無料送迎バスを運行している。同店は「ネットスーパー」も開設しているが、「来店して商品を選ぶのが楽しみ」というお年寄りのためのサービスだ。

秋田市の三浦強さん(73)・彰子さん(66)夫婦は10年以上前から「孫育て」に取り組み、共働きの次男夫婦をサポートしている。祖父母はあくまで親と孫の「クッション役」と自覚し、孫が宿題をするそばで見守るが、口出しはしない。「怒ったりしつけるのは親の役目」と口をそろえる。

高齢化社会は年金保険料負担が大きい若者に「世代間格差」という形で将来不安を広げる。また少子化と人口減が顕著で高齢化率上昇を加速させている同県では少子化対策が急務だ。

「秋田は世界で最も高齢化が進んでいく地域になるとの共通認識を読者と持ち、暮らしやすい地域づくりへの課題を考えた」と担当デスクの叶谷勇人報道部次長。同部の斉藤賢太郎記者を中心に若手記者が担当。(審査室)

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