2012年 1月31日
期待と現実に大きな差

中国「地域とエネルギー」

原発に依存しないエネルギーの確保はどこまで可能か。東日本大震災に伴う福島第一原発事故で地域も対応を迫られている。太陽光や風力発電など再生可能エネルギーの普及に向けさまざまな模索が始まった。年明けから半年かけて、その可能性と課題を報告する。

中国経済面連載の第1部は「太陽光」(1月5回)。中国地方では大規模太陽光発電所(メガソーラー)計画が相次いで浮上している。瀬戸内を中心に日照時間の長い立地条件が注目されているからだ。岡山県の誘致の呼びかけに、23事業者が設置希望を申し入れた。「周辺に関連の工場が立地し、既存の立地企業の新たな事業展開にもつながる」と石井正弘知事。

「新エネルギーの先進地になるチャンス」。ソフトバンクの孫正義社長が候補に挙げる鳥取県米子市も期待は大きい。候補地は空き地となっている干拓事業造成地50ヘクタール。地域振興のまたとない起爆剤になる。

中国地方ではパネルなど関連機器の製造に乗り出す地元企業も多い。地元の家電量販店も家庭用太陽光発電装置の販売に取り組む。不動産業者も太陽熱パネルを設けたマンション建設に動く。うまくいけば、地域の企業の事業機会が広がり、雇用や消費も増える。

だが、広島県竹原市にメガソーラー建設を計画する事業者は最終決定をできないでいる。再生エネルギー特別措置法による電力会社の買い取り価格がまだ決まらないからだ。コストに見合う価格でないと普及は難しい。広島県福山市の電子機器メーカーはパネル部品製造から撤退した。中国製など安値の輸入品の急増で採算の見通しが立たなかった。地域の期待と現実のギャップは大きい。

1部は経済部の山本和明、漆原毅記者が担当した。2部は風力をテーマに2月掲載の予定。「地域で考える材料をたくさん提供したい」と寿山晴彦経済部次長。(審査室)

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