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2012年 2月21日
身近にある孤独、反響大きく
南日本「ひとりの時代 鹿児島で生きる」
孤独死は臭いで分かることが多いと、鹿児島市で便利屋を営む外山廣明さん(65)は言う。提携する不動産業者の依頼で部屋を見に行き、もし発見したら片付けて家電はリサイクルに出す。亡くなる人はほとんど50代から60代前半の男性で、就職の面接で落とされ、引きこもって深酒するケースが典型。持病がある、ごみを片付けない、酒を飲むという三つの特徴がある。
奄美大島は共同体がまだ色濃く残っているはずなのに、1年ほど前、中心地の名瀬の市営住宅1階で60代の男性が亡くなり、上の階で異臭がするため警察官が部屋に入ると50代の男性が亡くなっていた。2人とも孤独死。民生委員(58)はマンションが増え人間関係が希薄になったし、個人情報の壁も厚いと嘆く。昨年10月スタートの第1部「最期の迎え方」(8回)は、後半で団地町内会の見守りを報告、さりげない目配り気配りが大切と説く。
第3部「非婚の理由」(10回)は結婚できない人たちの焦りや嘆きを伝えて考えさせる。鹿児島市役所の臨時職員の女性(38)は婚活歴4年、毎月会費制のお見合いパーティーに足を運ぶが縁がない。「これだけ時間とお金をかけないと結婚できないなんて、思わなかった」と深いため息をつく。パート女性(46)は「自然といい人が現れて」と思っていたが、努力しないと相手は現れないと「この年になって気が付いた」。教師の採用試験に落ち続け今は無職の男性(46)は高齢の両親と暮らすが、「世の中は努力で解決しないことも多い」。暴力亭主と熟年離婚し「自分らしく」生きる女性の話も。千葉や神奈川にも出張し、少子高齢化社会の困難と向き合って解決の糸口を考え続ける。福本政志報道本部長は「身近な問題だけに反響が非常に大きい」。野平宏、田中優子、三島盛義ら7記者が担当。第4部は社会保障制度を取り上げる。(審査室)