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2012年 2月28日
農業復興に奮闘する人々
河北「再興・仙台白菜 被災地を耕す」
震災で沿岸の産地は津波に襲われ、種産地の島々も被災した。伝統品種や産地の再生を目指す活動は緒に就いたばかりだ。国産白菜のルーツで、かつて全国を席巻した「仙台白菜」ブランドの復権に挑み、被災地の農業復興につなげようと奮闘する人たちを、1、2月の夕刊1面の連載(17回)で追った。
白菜は英語で「中国のキャベツ」と呼ばれるように中国伝来の野菜で、明治時代に日本に持ち込まれた。交雑しやすい白菜は伝来当初、良い種ができなかった。そこで旧宮城農学校(現宮城農高)で教諭を務めた沼倉吉兵衛が松島湾内の離島で隔離栽培し、1914年に優良な種を採ることに成功した。その後品種改良を重ね、関東大震災翌年の24年、今も残る白くて柔らかく、一世を風靡(ふうび)した伝統品種の「松島純2号」が世に出た。
松島湾に浮かぶ塩釜市浦戸諸島の野々島に明成高(仙台市青葉区)調理科の生徒や仙台市の農家、青果店主らが集まり、津波で流された畑で伝統品種も含めた白菜の採種の場の再生に取り組んだ。昨秋に苗の定植にこぎ着け、順調にいけば6月ごろには種が採れる。
全農宮城県本部は昨年、農業復興の足掛かりにと、白菜を活用した農家の支援活動「みんなの新しいふるさとづくりプロジェクト」に乗り出した。事前に買い取り価格を決める契約生産方式で、初年度は62の個人・団体が参加。被災農地を含む約7ヘクタールに、伝統品種と通常品種合わせて約400トンを作付けし、既にほぼ出荷を終えた。全農県本部はプロジェクトを継続し、伝統品種の松島純2号の増産を図りたい考えだ。
「生産農家の被災の実態を伝え支援活動の輪を広げたい」と報道部の大江秀則次長。大場隆由記者をキャップに丸山磨美、佐藤素子、渡辺ゆき、佐々木絵里香記者が担当した。(審査室)