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2012年 4月17日
俺にできるか
山陰中央「男の介護」
年老いた妻や父母が認知症になった時、夫や息子はどうするか。仕事一筋で家事は苦手な男性に介護はできるのか。鳥取、島根の山陰両県で介護に取り組む男たちを追い、その苦闘を企画総合面でリポートする。
昨年秋の第1部(初回1面・4回)は「俺にできるか」。鳥取県米子市の81歳男性はアルツハイマー型認知症の妻(76)と二人暮らし。症状が重い時は夫を「お母さん」と呼ぶこともある。介護で苦労するのは食事の世話。発症後に料理を習い覚えたが、大半はスーパーの総菜で賄う。3度のご飯を食べさせるのに1日6時間もかかる。
週3回のデイサービス施設通いは月額4万円。年金生活では負担は重い。怒声を張り上げる妻に、かっとなって手を上げたこともある。だが、妻を抱きかかえる力が残るうちは、「誰の手も借りたくない」と思う。
男の介護は孤独になりがち。女性と違い、恥ずかしさや気後れが先に立つ。第2部「見つけた、自然体」(1月5回)ではそんな男の事情に寄り添った。「変質者と誤解されそうだ」。松江市の男性(67)は女性用下着売り場で妻(63)の肌着を買えないでいた。女性トイレの付き添いでは不審者扱いされる恐れもある。そこで介護目的であることを示す「介護マーク」のカードを取り寄せ、身に着けてみた。「大変ですね」と今では女性店員も丁寧に接してくれる。
第3部「後押し」(3月5回)は男性介護への支援活動を紹介。島根県津和野町は年2回、男性介護者の会を開き、情報交換する。米子市の会社は男性社員(60)の退社時間を母親(83)の介護に合わせて午後4時に繰り上げた。企業も支援に動く。
桝井映志、上田素衣記者が担当。「いずれ介護の問題に直面する30、40歳代の男性にも関心を持ってほしい」と米子総局の今若靖男報道部長。連載は5月掲載予定の第4部まで。(審査室)