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2012年 4月24日
農業県の新たな道模索
陸奥「あすへの夢 震災を越えて」
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故は、食料供給基地であるとともに原子力施設を多数抱える青森県を取り巻く環境を大きく変えている。
より一層の安全確保が求められる食と農。国のエネルギー政策見直しで脚光を浴びている新エネルギーへの取り組みなどを通じ、震災を機に新たな道を模索する県内の動きを、1面連載で追う。
第1部は「試練の農業県」(1月、5回)。全国8位、東北で首位の農業産出額を誇る青森県だが、農業者の高齢化、担い手不足への対応は全く見通せないのが現状だ。
そこへ原発事故の影響で、放射性物質汚染への「食の安全対策」という負担も加わった。県内に多数の原子力施設が立地し、原発事故後、農業者の不安は高まっているが、食料供給基地としての役割を考えると電力の安定供給は欠かせない。原子力と共存せざるを得ない現実に農業者の苦悩は大きい。
第2部「岐路に立つエネルギー」(3月、6回)では、エネルギー政策が問い直される中で、青森県への影響と課題を探った。下北地域には再処理工場などの施設が集中立地しており、核燃料サイクル政策の行方は最大関心事だ。地域を二分する議論を経て施設受け入れを決めた自治体もあり、「国が方針を180度転換するならあまりに身勝手」との声も聞こえる。
風力や太陽光発電など再生可能エネルギーをつくる青森県の潜在能力は高いが、県内企業の参入は容易に進まない。農業などにも活用する「地産地消」型を目指せば、再生エネは青森県の特性を伸ばすチャンスになる。
「震災後の生産者の苦悩や、地域の暮らしがどう変わっていくのかを検証したい」と石岡由美子報道部長。長内忠光編集部次長、青森支社編集部の下山和枝記者ら取材班が担当。第3部は「災害に強いまちづくり」がテーマ。(審査室)