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2008年 1月22日
地域再生目指す年に
昨年は世相を示す漢字に「偽」が選ばれたように、食品偽装や年金問題、政治とカネ、防衛疑惑など不信を招く出来事が相次いだ。それだけに今年こそ信頼を回復したいとの論調が目についた。地方再生への思いを込めて、地域を見つめ直し郷土に自信と誇りを持とうとの呼びかけも目立った。北海道洞爺湖サミットを控え地球温暖化問題も取り上げられた。
悲観と不安の連鎖を断ち切れ
〈信頼と安心を〉西日本「今年は社会をつなぐ信頼の糸を紡ぎ直すことから始めねばならない。国民の信頼を裏切るような事件が昨年は相次いだ。分け隔てない、人がきちんと遇される社会の構築も急務だ。(略)信頼と安心があり、人が自然に支え合う、そんな暮らし。住民主導でコミュニティー再生に取り組みたい」、新潟「悲観と不安の連鎖を断ち切らねばならない。目先のことのみにとらわれていると、未来が見えなくなる。(略)偽物や口先でごまかす社会とはきっぱり決別しよう。本物の暮らし方を一緒に探し出すときだ」、静岡「豊かさをみんなで独り占めしようとあがいてきた顛末(てんまつ)が、やせ細った社会保障、家庭の中のすき間風、乏しい連帯感となってこの国に広がりつつある。(略)今こそ豊かさ幻影から目覚め、この国の針路を描きあげる英知を傾けないといけない」、河北「偽装や汚職は極端なケースだとしても、その根底に、社会全体のモラルの低下や信頼の喪失があることも事実だろう。(略)個々の幸せや誇りが、思いやりや共生の気持ちにつながり、きっと『負の社会』を変える力になることを信じたい」。
〈地域見直そう〉東奥「住んでいる地域の暮らし、伝統や文化を、もう一度見つめ直そう。地域の良さを見つけてみよう。(略)(中央と地方の)格差は縮めなければならない。しかし、地方は『東京』になれるはずがない。なる必要もない。地方としての生き方を探るべきだ」、岐阜「地域の『文化』に目を向けたい。公共事業では地域は潤わない。これまでの政策を見れば明らかだ。自然、歴史的建造物、地場産品、民俗芸能、地域に根付いたイベントなどを地域資源と位置付け、磨きをかけて地域再生の手掛かりにしたい」、山陽「(政府の地方分権改革推進委員会が)国のありようを根本から改める大改革が必要だとして『地方政府』の確立をうたった。(略)自らの地域の将来を、自らが主体的に考え、取り組んでいく。国から与えられた設計図通りに生きるより、よほどやりがいがある。今年を真の分権改革に挑む年にしたい」、沖縄「地域に住む人々にとって『豊かさ』とは何なのか。社会の構造変化を見据えて沖縄の将来像をどう構想するか。あらためて問い直すべき時である。(略)開発主義に対する反省と国依存体質からの脱却。この二つの課題を達成する方向に沖縄社会の構造を転換していく必要がある」。
〈自信と誇りを〉宮崎「本県の歩む足取りはこの一年で大きく歩幅を広げた。それは紛れもなく、一年前の暗雲を吹き飛ばすように登場した東国原英夫知事の獅子奮迅の活躍によってである。(略)『東国原フィーバー』で沸騰点に達した県民の熱狂とエネルギーを、今後は宮崎の真の『底力』に転化しなくてはならない」、山形「四季豊かな自然、歴史と文化、恵まれた食材、人情味あふれる県民性...。全国に誇れる財産がいっぱいある。新年のキーワードを『山形に自信を持とう』にしたい。そこから元気と誇りが生まれ、新たな道が切り開かれると確信する」、徳島「徳島ファンを増やそう。新しい年の初めに、そんな提案をしたい。『○○町のファン』『特産物○○のファン』も、もちろん大歓迎。いろいろな分野で、徳島の応援団を増やしたい(略)いまこそ『発想の転換』と『プラス思考』が必要だ。住民、行政が力を合わせて地域の新たな可能性を見つけたい」、北日本「世界文化遺産登録を目指す県内の候補二件が今年、審判を待つ。『立山・黒部―防災大国日本のモデル』と『近世高岡の文化遺産群』。(略)古里を誇りに思う心は何物にも代え難い。世界文化遺産登録への取り組みは、既に多くの果実を得ているとも言える。揺るぎない誇りを胸に吉報を待ちたい」。
〈地球どう守る〉北海道「二〇〇八年は、主要国首脳会議(サミット)が、北海道洞爺湖で開かれる年だ。主なテーマは、温暖化から地球をどう救うかだ。(略)先頭に立って汗をかくのは、サミットのホスト国で、国際協調のもとでしか生きられない日本でなければならない」、室蘭「『北海道洞爺湖サミット』そのものの成功は、日本という枠を超えて、二十一世紀の地球を守る会議として重要な位置付けを持つ。各国の知恵で『地球防衛の隊列』を組むことができるかが問われる。(略)地球を守る地域の決意を、一人百円募金で『サミット記念碑』に残し、私たち一人一人が〝地球環境防衛隊員〟だった証しにしよう」、神戸「地球規模で深まるこの課題(環境危機)の解決には、地域で地道な実践を重ねるしかない。ゴールは見えず、手ごたえに欠けることもあるだろう。そんなとき、衛星『かぐや』が伝えた画像を思い出したい。荒涼とした月面のかなた、宇宙の闇の中にぽっかり浮かぶ青い地球の姿は心に染みた。この『美しい星』を美しいまま、未来の世代に引き渡さねばならない」。
地元発の研究開発に光当てる
【1面トップ】三十四紙がニュース(調査など含む)、二十九紙が企画(対談など含む)、十三紙は連載でスタートした。
〈ニュース〉東国原知事就任一年の宮崎「知事支持率93.7%」が目を引いた。総選挙情勢を山梨、愛媛が展望。京都「家庭のCO2削減分を企業が買い取り(府が導入検討)」、茨城「県内でも産学官挙げ温暖化対策」、信毎「ヒートアイランド現象 長野・松本・上田でも」、中日「名大が国際連携 『自然と共生』の視点重視」は地球温暖化関連。観光関係では西日本「ディズニー福岡進出へ」や山陰「(石見)銀山地下に8巨大空間」、静岡「県、『観光局』新設へ」、長崎「池島炭鉱を観光資源に」、琉球「ホテル計画4200億円」。交通網整備は東奥「2010年10―12月有力 新幹線・新青森開業」、徳島「県民、架橋効果を実感 明石海峡大橋開通10年」、神奈川「横浜市営地下鉄グリーンライン3月30日に開業」、岐阜「東海環状道広がる夢」。地域の研究開発を南日本「鹿児島衛星 試作機が完成」、熊本「太陽電池普及へ県内産学連携」、四国「香川大の超小型衛星STARS 夢載せて今秋宇宙へ」が報じた。その他、秋田「微生物で油田再生」、北國「地域資源活用で新産業 200億円基金を創設」、福島民友「県、アジア戦略強化」、北海道「北海道マラソン段階的に拡大」、山陽「備中漆本格復興へ」など。
〈1面連載〉三日付けを含め三十紙が掲載。子どもや教育をテーマにした佐賀「さが子ども白書」、岩手日報「大人たちよ―子どもがあぶない」、沖縄「学力ってなに」、日本海「学びのかたち―教育再生への道」。いのちや医療、高齢化を扱った十勝毎日「生きる」、北日本「夕陽を織る」、山梨「いのちと向き合う」、東奥「あしたへ 地域医療再生」、岐阜「命をつなぐ」。環境問題では中日「地球発熱」、神戸「環境の世紀・兵庫から」、陸奥「環境 青森のいま」、室蘭「環境 地域から世界へ(洞爺湖サミット)」。地域を見つめた企画に琉球「やんばる光と影」、山形「滔々(とうとう)と 最上川今昔」、京都「京の実像」、福島民報「ふくしまの針路」。北海道「崩食豊食」は食がテーマ。他に新潟「揺らぐ安全神話 柏崎刈羽原発」、中国「IWAKUNI 迫る爆音」、下野「田中正造物語」、福井「シアワセ検索 福井の団塊ジュニア」、高知「南へ―県人中南米移住100年」など。
環境問題・選挙・五輪など特集
【別刷り】沖縄の百三十八㌻を最高に百二十㌻以上が五紙。八十~百十六㌻が七十二紙、四十~七十六㌻が二十四紙。地域再生や開発、環境問題を初め総選挙、北京五輪、世界遺産関係などの特集が目についた。(審査室)