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2008年 2月5日
国際協調・連携 促す
世界的に株価が急落している。米国の低所得者向け住宅融資(サブプライムローン)の焦げ付きに端を発した混乱は欧州、日本から、経済的に好調だったアジア諸国にも波及した。一月二十二日に米連邦準備制度理事会(FRB)は0・75%の緊急利下げに踏み切ったが動揺は収まらない。危機の歯止め役と期待された中国やインドにも不安が広がり、経済の減速が懸念される。世界同時株安傾向を受け、三十七本の社・論説が国際的な協調行動を促した。
サブプライムから暗雲
〈深刻な事態〉河北「きのう(二十二日)の東京株式市場は、日経平均株価(225種)が前日比七五二円安の一万二五七三円と急落、二年四カ月ぶりに一万三〇〇〇円を割り込んだ。年初からの下落は約17㌫、二七〇〇円を超えた。深刻なのは、米国、日本、欧州ばかりでなく、高成長を維持してきた中国、インドなど新興国も連関し、世界同時株安の様相を強くしていることだ。各国は早急に、金融、財政政策などで協調、連携し、景気後退を阻止する必要がある」、中日・東京「信用力の低い人向け住宅ローン(サブプライムローン)問題は欧米や日本の金融機関にとどまらず、中国の四大銀行の一つである中国銀行も巨額損失を計上する見通しと報じられた。サブプライム問題は、いよいよ世界経済全体を覆う暗雲になってきた感がある」。
〈米国の責任〉読売「世界同時株安に歯止めをかけるには、米国が市場を納得させる景気対策を打ち出す必要があろう。(略)株安が進んだのは、ブッシュ米大統領が先週末に発表した緊急景気対策の『概要』が迫力不足だったことだ。ニューヨークの株価は失望売りで下落し、それが世界中に波及した。(略)大統領は米議会との調整を急ぎ、具体策を早急に示す必要がある」、毎日「サブプライムの影響は、金融市場だけにとどまらず、実体経済へも波及している。個人消費がマイナスとなり、住宅価格も下落している。住宅価格の上昇が担保価値を引き上げ、それによる新たな借り入れで消費を増やすという具合に、不動産価格の上昇と個人消費の拡大の連鎖が、米国経済の成長を支えていた。それが逆回転し始めた」、北海道「米国内では金融機関が決算を発表するたびにサブプライム関連の損失が膨らんでいるが、それだけでなく『モノライン』と呼ばれる金融保証会社の経営不安も新たに浮上している。対応が後手に回っている感は否めず、このままでは米国が世界経済全体の足を引っ張ることにもなりかねない。米政府と金融当局はこの問題の震源地としての当事者意識をもって対策に全力を挙げる必要がある」、産経「カギは、やはり米国である。ここまでの景気対策や利下げは、サブプライム問題に決着をつけるには、内容も覚悟も不十分だった。(略)ブッシュ政権も、もはや、金融機関がサブプライム関連商品の処理を促すための公的資金投入をためらうべきではない。金融機関の出血を止めた上で景気対策を講じなければ、効果は限られてしまう」、西日本「財政赤字を抱える米政府は歳出増に慎重だが、金融機関への公的資金注入など抜本対策を早急に打ち出すべきだ。株安連鎖は、各国市場が追加政策を迫っているのだと米政府は受け止めてほしい」。
力強いメッセージを
〈日本の対応〉信毎「福田康夫政権が不安を鎮める政策を明らかにすべきである。それなのに、二〇〇八年度予算案からも活性化への道筋が見えてこない。格差に配慮するというのであれば、地域経済が活力を取り戻す展望を示すなど、市場に力強いメッセージを送る必要がある」、神戸「日本も黙って見守るだけでは不十分だ。日銀はきのう、政策金利の維持を決めたが、利下げを加速する欧米と整合性は取れるのか、真剣に考える必要がある。(略)世界経済に占める割合の低下など日本の存在感は今、薄れつつある。『日本経済は一流とはいえない』とした政府の経済演説は本音ともいえる。だからこそ、国際協調の場面で影響力を取り戻したい」。
〈今後の懸念〉朝日「金融危機を避けつつ、ゆがみの小さい経済にどう軟着陸させるか。世界中の金融当局者が直面している難題である。米国によるイラク戦争の失敗と、米国を中心とするマネー経済の変調。覇権国の揺らぎに備えねばならない」、日経「実体経済との絡みで大きな問題は、米国が減速しても新興国が高成長するから大丈夫という、デカップリング(非連動)論に疑問符が付き出したことだ。対米輸出の減速がアジア経済などに冷や酒のように利き始めるとの心配が出てきた。年初に一バレル一〇〇ドルを突破した原油相場が、株安と歩調を合わせるように九〇ドルを下回った。世界経済の減速を織り込みつつあるためともいえる」。(審査室)