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2008年 6月24日
会期末提出を疑問視
参院は十一日、民主党が社民、国民新党と共同提出した福田康夫首相に対する問責決議を全野党の賛成多数で可決した。後期高齢者医療制度廃止に応じないことなどが理由。首相問責決議は現憲法下で初めてだが法的拘束力はなく、与党は翌日の衆院で内閣信任決議を可決した。野党三党は審議拒否に突入、通常国会は事実上空転のまま二十一日閉幕した。問責決議翌日の四十六本の社・論説は、会期末という提出時期を疑問視する一方、政治的影響の重みも指摘、早期解散を促す主張も目立った。
党首討論中止は本末転倒
〈緊張感なし〉西日本「『現行憲法下で初めて』という前代未聞の出来事である。本来なら戦後政治史に太字で刻印すべき事態であろう。では、政界に衝撃が走ったか。私たち国民の間でも高揚感や緊張感がみなぎったか。答えは、いずれもノーである」、神戸「狙いは衆院の解散、総選挙である。提出するからには、政権を一気に追いつめる気迫と覚悟がなければ、問責決議は単なるポーズになりかねない。しかし、総選挙へなだれ込むような張りつめた気配は伝わってこない」、山陽「問責決議は、民主党などにとって首相を追い詰める『伝家の宝刀』とされていた。『抜くぞ、抜くぞ』と声高に叫んでいたが、このタイミングでついに抜いたものの、解散につながらないようでは宝刀が無駄になろう。判断間違いではないだろうか」。
〈何のために〉読売「このタイミングで福田首相の問責決議をなぜ提出、可決したのか。責任ある政党としての対応とは言えまい。(略)結局、衆院解散に追い込む効力はないことを承知の上で、対決路線を強調し、国会閉会後も、党内を引き締めていく道具として、問責決議を利用したにすぎないのではないか」、産経「民主党は『首相を相手にせず』の方針とつじつまを合わせるため、今後の国会審議には応じないという。国政の停滞に拍車をかけるだけである。政略優先の対応から抜け出せないのは情けない」、秋田「さらに問題なのは、提出を理由に、今国会二度目の党首討論が中止されたことである。本末転倒だろう。トップ同士が議論を深め、その後に提出するのが筋というものではないか」。
〈されど問責〉中日・東京「立法府での対応を理由に、行政府の長の責任を問うのは理屈としては苦しい。しかし総選挙の洗礼を受けていない、20%割れの支持率にあえぐ政権に対し、一院が民意を背景に『退場』を求めた意味合いは重い。ねじれ国会で予想された野党なりの『けじめ』である」、河北「問責決議は『民主党が党内政局のために使った』(伊吹文明自民党幹事長)面があるのだとしても、一面では現時点の一定の民意を反映したものだ。(略)政府・与党は、首相問責の裏に福田政治を監視する世論があることを謙虚に認めてほしい」、愛媛「不信感は福田首相だけではなく、弱い者に犠牲を強いている政府、与党に向けられている。問責決議はそうした民意を代表したものだと重く受け止めるべきだ」、上毛・日本海など「政権を取り巻く環境は厳しさを増すだろう。首相が模索してきた民主党との協調路線は、問責可決によって断ち切られたといえる。消費税を含む税制の抜本改革などの重い課題にどう取り組むのか。指導力の発揮は容易ではないだろう」。
解散すべき時期は近い
〈民意問う時〉日経「問責決議可決の政治的影響は決して小さくない。参院から実質的な不信任を突きつけられた事実は福田首相に重くのしかかる。民主党などは次期国会でも冒頭から審議拒否に出る可能性があり、首相の政権運営や国会運営はますます難しくなる。(略)問責決議の是非は別にしても、衆院を解散して民意を問う時期が近づいているのも確かである」、朝日「政治の基本のところで衆参の意思がぶつかりあってしまうというのは異常事態である。どちらに軍配を上げるのか、総選挙で民意に聞くのが筋だろう。それが政権につくものの正統性を確立する道だし、物事を決める力を政治に取り戻すことにもなる。そのことを改めて首相に求めたい」、新潟「双方が及び腰の対決ごっこは、もうおしまいにしてほしい。(略)国難ともいうべき荒波が押し寄せているとき、政治が立ちすくんでいてはどうしようもない。国家間の約束であるサミットを終えたら、早期に衆院を解散し、総選挙で民意を問うべきだ」、毎日「民主党内にはいったん問責決議を可決した以上、8月召集が予定される臨時国会以降も審議に応じないとの考えもある。しかし、それは国民の期待に応えるものだとは思えない。決議に法的規定はないのだから、むしろ、何度でも提出するくらいの柔軟さが必要だ。自ら手足を縛ることはない。今後も堂々と審議をし、解散・総選挙を目指すべきである」。(審査室)