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2008年 10月7日
総選挙へ臨戦モード
福田康夫前首相の退陣を受けた自民党総裁選で圧勝した麻生太郎氏が九月二十四日、第九十二代首相に就任した。二年で三人目の首相交代。衆院解散、総選挙が待ち構える異例の政権スタートとなった。発足早々には中山成彬国土交通相が問題発言で辞任、首相所信表明では民主党との対決姿勢を鮮明にし、米金融不安の深刻化で解散日程も流動化するなど波乱含みだ。内閣発足の翌日、四十八本の社・論説が麻生新政権を論じた。
景気対策で民主と決戦
〈選挙管理内閣〉日経「実質的には総選挙までの選挙管理内閣である。麻生首相自身『総選挙で民主党に勝ち抜かなければ、天命を果たすことができない』と語っている。選挙に勝てば本格政権の道が開けるが、負ければ超短命政権に終わる。麻生新内閣こそ『背水の陣内閣』である」、中日・東京「『ねじれ状況』で安倍、福田両政権は倒れた。衆院任期は残り一年。避けて通れない総選挙へ与党は麻生カードを選択した。直近の民意を取りつけることで優位に立ち政権維持を図る。総選挙勝利が最大課題の『選挙管理内閣』だ。これが麻生内閣である」、毎日「実態としては選挙管理内閣の性格を持つ新政権の発足である。与野党勢力が逆転した参院は民主党の小沢一郎代表を首相に指名した。『ねじれ国会』の下、自公政権継続か、それとも民主党中心の政権への交代か、選択を民意に問う機は熟した」。
〈臨戦の布陣〉中国「麻生新内閣は、最優先とする経済対策に軸足を置きながら、総選挙をにらんだ『臨戦モード』の布陣となった。ちょっとしたサプライズもあった。新閣僚の顔ぶれを、麻生太郎首相自らが発表する米国の大統領などにならった方式。『顔出し』で、リーダーシップを際立たせる演出だろう」、愛媛「総裁の座を争った四人中、三人を内閣や党人事で処遇した。衆院選に向け挙党態勢を演出するねらいがあるのは明らかだろう」、朝日「注目されるのは、積極的な財政出動論者である中川昭一氏を財務相兼金融相に充てたことだ。『景気対策』一本で小沢民主党と戦う。そんな首相の戦略が鮮明に表れている。小渕少子化担当相は戦後最年少、34歳での入閣だ。再任した舛添厚生労働相、野田消費者行政担当相ら知名度の高い閣僚とともに『選挙の顔』としての期待もあっての起用だろう。(略)歴代首相の2世、3世が麻生氏以下4人もいる。世襲議員も多い。自民党の人材供給源が先細っていることを改めてみせつけた」、神戸「十七人の顔ぶれを見れば、再任が多いこともあり、総じて新鮮さに欠ける。首相と親密で、保守色の強い閣僚も目につく。依然として二世などが多い点も気になる」。
〈首相の責務〉産経「麻生太郎首相が問われているのは国家的危機の打開策である。(略)難問への具体的な処方箋(せん)提示こそ、首相の責務だ。国のあり方を積極的に語っていた首相の持ち味を生かしていくべきだ。近々、小沢一郎民主党代表との間で首相の座を争う。説得力ある難局への打開策が、国民の信を得ることにつながる」、読売「福田前首相の辞意表明後、国内外で、深刻な問題が発生している。内閣として、危機管理体制を総点検し、国政遂行に万全を期すことが求められる。(略)近づく衆院選は、麻生首相が率いる自民党と、小沢代表の民主党との決戦になる。麻生政権が実績を上げていくには、まず、小沢民主党に勝利しなければならない」、新潟「麻生氏が語らねばならないのは、国民の心を打つような日本政治立て直しへの決意である。政権維持にきゅうきゅうとし、総選挙対策が最優先のようになっては天下分け目の決戦の名に恥じる。肝に銘じてほしいことだ」。
国民に選択肢を掲げよ
〈選挙の前に〉上毛・日本海・大分など「総裁選に伴う政治空白を取り戻すべく、新内閣は責任を持って果断に対応しなければならない。(略)衆参両院で予算委員会を開き、与野党が緊急の課題に対する処方せんを出し合って議論すべきだ。総合経済対策を裏付ける補正予算の成立は不可欠である」、南日本「このまま衆院解散・総選挙になだれ込むのは早計に過ぎる。まずは現時点で国会としてできることに全力で取り組むべきである。(略)予算委員会や党首討論の場で議論を深めるよう求めたい。その上で国民の審判を受けるべきである」、東奥「決戦前夜の今、日本丸のかじを握った『麻生船長』にも、政権交代を目指す小沢・民主にも求められるのは何か。目の前の課題、その先の中長期的な課題という荒波をどう乗り切るかを国会の論戦を通して競い、国民に選択肢として示すことではないか」、北海道「今度の衆院選は政権選択の選挙となる。日本の政治の大きな転機ともなりうる。政党がそれにふさわしい選択肢を掲げることが重要だ。首相はその道筋をつけた上で、速やかに衆院を解散しなければならない」。(審査室)