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2009年 3月3日
醜態、迷走｢見苦しい｣
中川財務相辞任をめぐる社説
麻生政権に深刻な打撃
中川昭一財務・金融担当相が二月十七日、ロｰマでの七か国財務相・中央銀行総裁会議(G7)後、もうろう状態で記者会見した責任を取って辞任した。当初は続投を表明、その後予算案の衆院通過後に辞任するとしたが、野党が問責決議案を出す事態となって即時辞任に追い込まれた。四十五本の社・論説は｢辞任は当然｣とした上で麻生太郎首相の対応や責任を厳しく批判、政権は危機的状況にあると指摘する論調も目立った。
もうろう会見で威信に傷
〈醜態さらす〉東奥｢それにしても、ひどい記者会見だった。ろれつの回らない口調に、話す内容は意味不明でしどろもどろ。もうろうとした状態で、途中で居眠りしているのではと疑われるほど｣、南日本｢酔っぱらっているとしか見えなかった。〝醜態〟は海外メディアを通じて世界中にさらされた。(略)日本という国はこんな人物を重要閣僚に据えているのか、きっとそう思われたに違いない。国民として恥ずかしい｣、京都｢中川氏は飲酒による影響を否定し、風邪薬が原因などと釈明を重ねた。批判をかわし、辞任回避を狙ったのだろうが、会見での異様な受け答えを見れば、説得力に欠けることは明らかだった｣、愛媛｢原因のせんさくはおくとしても、世界に醜態をさらしたことだけは間違いない。結果的に日本の威信を大きく傷つけもした｣。
〈迷走の末に〉西日本｢何とも、見苦しいお騒がせ大臣の退場劇だと指摘せざるを得ない。中川氏の記者会見だけでなく、その後始末でもまた、政権は醜態をさらしてしまった｣、福島民報｢迷走の末の辞任劇だ。時間の経過とともに高まる批判に最後は抗しきれなかった。内閣への打撃を少しでも食い止めるため、辞任以外に選択はなかったはずだ｣、新潟｢本来なら首相が更迭して当然であろう。国民の批判に応え、日本の信頼回復を期すならそれが筋のはずだ。だが、国民が見せつけられたのは極め付きのドタバタ劇だった｣、河北｢情報を収集する力、冷静に情勢を判断する力、そして指導力。どれをとっても弱っている。きのうの迷走は政権の衰滅さえ予感させる｣。
〈首相の責任〉朝日｢麻生首相の責任はあまりにも重い。中川氏を任命した責任はもちろん、一時は続投を指示しながら、最終的には辞表を受け取らざるを得なかった。首相自身の判断の甘さ、緊張感の欠如は隠しようもない｣、産経｢中川氏に続投を指示した麻生首相の判断も問われるだろう。内閣支持率の下落傾向の背景にも、そうした指導力不足が指摘されている。今回も統治能力に大いに疑問の目が向けられていることを認識してほしい｣、神戸｢中川氏は酒好きで知られ、深酒による不安定な言動が再三、指摘されてきた。それを承知で最重要閣僚に起用した麻生首相の任命責任も、厳しく問われなければならない｣、信毎｢先日は、衆院本会議で財政演説の原稿を何度も読み間違えている。過度の飲酒癖と合わせ、政治家としての資質に疑問が生じていた。任命した首相の責任も問われる｣。
〈立て直しを〉上毛・日本海など｢麻生政権への打撃は大きい。支持率の低迷する政権の信用はますます失われ、求心力は低下する一方だ。(略)麻生太郎首相は早急に態勢を立て直し、景気回復に全力を尽くすべきだ｣、読売｢態勢の立て直しが急務だ。(略)衆院では、09年度予算案の審議が大詰めを迎えている。(略)参院では、定額給付金などを盛り込んだ第2次補正予算の関連法案の採決も先送りされたままだ。麻生政権は、これらの成立に全力を傾注しなくてはならない｣、日経｢政治が景気の足を引っ張るようなことがあってはならない。まず予算を速やかに成立させ、追加景気対策の展望を開くために、麻生首相は小沢民主党代表との会談や話し合い解散も含めて何でもやるという断固たる意志を示すべきである｣。
解散・総選挙求める声も
〈末期的症状〉北海道｢内閣支持率は下落に歯止めがかからず、ついに一けたの数字まで出始めた。小泉純一郎元首相からは郵政民営化に関する発言を痛烈に批判され、自民党内には深刻な亀裂が広がっている。そこへ『盟友』と頼んできた中川氏の辞任である。政権にとって致命傷とも言える事態だ｣、中日・東京｢内外に恥の上塗りと映った政権の体たらくでは、予算と関連法の早期成立は難しかろう。(略)危機対応に定見もなく右往左往する首相に猛省を促す。併せて与野党の妥協点を早急に探り、解散・総選挙へ動くよう求める｣、毎日｢これはやはり政権末期の症状だ。危機管理能力の欠如も露呈したことで、国民の間にはますます『この政権で大丈夫か』との不安が募るだろう。(略)そんな閉塞(へいそく)感を打ち破るためにも早期の衆院解散・総選挙に踏み切り、政治をリセットすべきだ｣。(審査室)
