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2009年 4月7日
「辞任で責任明確に」
秘書起訴と小沢氏続投をめぐる社説
検察捜査にも疑念示す
西松建設の違法献金事件で東京地検特捜部は三月二十四日、小沢一郎民主党代表の公設第一秘書を政治資金規正法違反で起訴した。これを受けて小沢代表は記者会見し、贈収賄など新たな事実は出てこなかったとして続投を表明した。直後の約五十本の社・論説は、小沢氏の続投を強く疑問視する一方、検察捜査にも疑念を投げかけた。
なお迫られる進退判断
《身引くべき》新潟「小沢氏は会見で起訴は納得がいかないと語った。しかし『政治とカネ』に熟知した小沢氏が、献金した政治団体がダミーとは知らなかったではそれこそ納得できない。小沢氏は秘書の起訴を虚心坦懐(たんかい)に受け止め、代表の座を降りるべきではなかったか」、産経「小沢氏は政治的、道義的責任に加え、大久保被告の刑事責任にどう関与したかが問われることになる。(略)小沢氏は24日夜の会見で『責任は大きい』と自ら認めた。その意味では、民主党代表を辞任するなどして政治責任を明確にすべき事態である」、朝日「政治家に不祥事が持ち上がった時、問われるのは法的責任だけではない。重い政治責任を負わねばならない。(略)変革を訴える党の党首として、小沢氏がふさわしいとは思えない。国民の大方が納得できる説明を尽くせないのなら、代表から身を引くべきだ」、上毛・大分など「小沢氏は続投が衆院選に与える影響について『国民の皆さんの受け取り方次第だ』と述べた。今後、小沢氏側への捜査が新たな展開をみせたり、民主党の支持率が大きく落ち込むような事態になれば、あらためて進退の判断を迫られるだろう」。
《イバラの道》信毎「党の信頼を取り戻し新しい政治状況をつくり出していくチャンスを、民主党はみすみす逃した―。そんな印象を受ける。(略)問題は逮捕容疑を超えたところにある。この事件を通じ、小沢氏が金権体質を引きずっていることが、あらためて浮き彫りになったことである」、佐賀「民主党は小沢代表を守るしかなかったのだろうか。これは党内浄化の芽を摘むことにもなり、国民の政治不信に歯止めはかからない。ここは小沢氏に〝引導〟を渡すべきではなかったか」、読売「民主党の行く先には険しいイバラの道が待っている。(略)代表が次期衆院選の陣頭指揮をとることのプラス・マイナスを本当に党内で議論したのか。そこがはっきりしないこと自体が民主党の弱点だと、有権者に受け止められないだろうか」、日経「次期衆院選で政権交代をめざす民主党のトップの決断は有権者の理解を得られるのだろうか。民主党にとって手負いの小沢氏の下で衆院選を戦うのは大きな賭けになる」。
《釈然とせぬ》中国「検察は『重大な犯罪』と断罪した。小沢氏は、政治資金報告書の記載の問題であり『納得がいかない』と、代表の座にとどまる意向を示した。真っ向から対立する双方の主張だが、いずれにも釈然としないものを感じる」、河北「捜査の新たな展開は結局、何もなかった。雇い主も管理監督責任を引き受けることなく、職にとどまることになった。この落胆は、どこから来るのだろう?(略)東京地検特捜部という組織の強制力にも、まして政治の側の自浄力にも、解決の望みを今、託し得ないのだという現実を見せつけられた」、熊本「何もかもが消化不良のまま、残されたのではないか。小沢代表続投にいたる経緯を振り返ると、そう思わざるを得ない。まず第一に、小沢代表が十分な説明責任を果たしていないということだ。(略)さらに国民が最も消化不良を起こしているのは、東京地検特捜部の捜査の在り方についてではないか」。
なぜ選挙前に野党だけ
《徹底捜査を》北海道「捜査着手のタイミングが、なぜ政権交代のかかる総選挙を控えた時期だったのか。西松は自民党の複数の有力議員にも同じように献金していたのに、どうして野党党首の秘書だけの逮捕になったのか。検察の真意や捜査手法をめぐって民主党ばかりか、他党にも首をかしげる向きがある」、中日・東京「この違法献金事件の捜査には不公平感がぬぐえない。公共事業に絡む献金ならば、なおさら関係する全議員を視野に入れた徹底捜査を求めたい。(略)すっきりしない感覚は尾を引いている。国民の納得がいく説明と、今後の捜査の行方こそが、検察不信の清算にもつながろう」、毎日「今回の捜査には、総選挙が近づく中で選挙妨害になるのではないか、政権交代の可能性が強まる民主党の代表を意図的にターゲットにしたのではないか、などという疑問の声が国民の一部から聞かれるのも事実だ。そうした国民の疑念をぬぐい去るためにも、検察は節目節目で捜査の必要性を十分に説明してほしい。そして何よりも、政界にはびこる疑惑を徹底的に解明することだ」。(審査室)