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2009年 6月9日
実効性伴う制裁迫る
北朝鮮の核実験をめぐる社説
核断念へ一致して圧力
北朝鮮が5月25日、2006年10月以来の2回目の地下核実験を実施した。同時に短距離ミサイルを繰り返し発射したうえ、長距離弾道ミサイルを発射する構えも見せている。国連安保理は、北朝鮮が4月5日に長距離弾道ミサイルを発射した際には、非難の意思を決議ではなく議長声明で示すにとどめたが、今回は厳しい決議採択をめざして調整した。71本の社・論説が取り上げ、北朝鮮への実効性ある制裁を求めた。
思惑は米との関係正常化
《北朝鮮の狙い》中日・東京「北朝鮮は、故金日成主席の生誕百周年である二〇一二年に『強盛大国』を実現して、大々的に祝う計画を立てている。軍事、思想、経済分野での大国という目標まであと三年。特に経済は破綻(はたん)寸前にあり、国民の不満・不平もたまっている。(略)閉塞(へいそく)状態を打ち破る唯一のカードが『核』であり、国際的に『核保有国』として認知されることだ。そうすれば、米国とも対等に対話できると考えている」、朝日「北朝鮮は核とミサイルで国際社会への脅しを強め、『核保有国』への野心を一段とあらわにした。いまこそ各国は違いを乗り越え、核放棄を厳しく迫らなければならない。(略)大事なのは決議の実効性であり、それを支える加盟国の結束だ」、新潟「核保有国として対等な立場で交渉したい。相手は米国で、それさえできれば六カ国協議は要らない。核実験はその狙いを行動に移したものだ。協議再開は遠のき、当面絶望的な状況ともいえる。だが、北朝鮮のもくろみが成就することはあり得ない。日米韓は連携して対処し、他国も批判を強めているからだ」、信毎「『脅し』によって有利な条件を引き出すのが北朝鮮のやり方だ。健康問題を抱える金正日総書記の後継体制づくりをにらみ、『核保有国』として対等の立場で、米国の敵視政策を放棄させ、関係正常化を図ろうとの思惑が透ける」。
《国際社会が結束》北日本「各国が制裁強化などに一致して当たることが肝要だ。弾道ミサイル発射をめぐる安保理協議では、新たな決議案採択を求める日本に対し、常任理事国の中国が反対するなど足並みがそろわなかった。すきを見せてはなるまい」、日経「北朝鮮はオバマ政権の注目を集め、米朝交渉につなげたいのだろう。だが国際社会は今度こそ、挑発や威嚇行為がもはや通用しないことを北朝鮮に認識させる必要がある」、北海道「安保理は前回、北朝鮮が核実験を行った際に核計画の放棄などを求める制裁決議を採択しており、核実験はこれに明白に違反する。(略)北朝鮮に対して国際社会が一致した行動をとることが大事である」、河北「表明される反感は国によって必ずしも等量・等質ではないだけに、集約し、糾合できてこそ、北朝鮮の態度を変えさせる推進力をつくり出せる」。
《効果的な策は》日本海・大分など「北朝鮮の行動を抑止するうえで効果的なのは、外貨獲得を阻止する金融制裁と、エネルギー・食糧供給の規制だ。〇五年に実施されたマカオの銀行『バンコ・デルタ・アジア(BDA)』への米金融制裁が北朝鮮に打撃を与えたことや、エネルギー・食糧不足は体制への不満につながることからも明らかだ」、西日本「大切なのは、三年前の決議が再核実験を防げなかった理由を考えることだ。制裁実施は義務ではなく、各国の判断に任されている。日本のように厳密に履行している国は少なく、北朝鮮にとって大きな痛手になっていないとされる。有効に機能していないのである。新決議案は、制裁の内容だけでなく、実際に効果がなければならない」、毎日「北朝鮮の最大の狙いは米国との関係改善なのだから、この状況を活用して北朝鮮を非核化に導くことも不可能ではないはずである。6カ国協議の枠組みを再稼働させる努力も必要だ」。。
米中への働きかけが必要
《脅威除くために》産経「報復能力や核・ミサイル施設の先制破壊などの議論を避けているばかりでは済まない現実が、目の前にある。集団的自衛権行使に向けた憲法解釈の見直しや、核抑止力をどう担保するかといったテーマこそ、国会は封じるのではなく、論じなくてはならない」、読売「金融制裁の手段を持つ米国と、エネルギー支援を含め最大の援助国である中国が、本気で阻止しようとしない限り、北朝鮮に核開発を断念させるのは至難だろう。北朝鮮の核ミサイルの脅威に直接さらされているのは日本だ。米国や中国に対して北朝鮮に圧力を加えるよう、強く働きかけていく必要がある」、愛媛「ただ圧力は必要だが、関係国は対話のチャンネルまで閉ざしてしまってはならない。北朝鮮の最善の選択肢は、六カ国協議の席につくことだということを思い出させたい」。(審査室)