2010年 1月1日
論説・解説面を拡充

2009年紙面企画・改革の状況
ウェブと紙面の連動も

2009年、新聞各社の紙面刷新では、オピニオン面、解説面の拡充が相次いだ。インターネットへの対抗上、速報性とは異なる新聞の特性を模索し、深化させる動きだろう。一方で、ウェブとは敵対ではなく相互補完を目指す試みも進んだ。このほか、裁判員制度開始に合わせて、事件報道を改革する社告が目立った。夕刊は廃止と再活性化を図る動きが交錯した。

多角的な視点を提供

《オピニオン面》東奥は1面にオピニオン面「大討論」を設置。健康、経済、農業など暮らしにかかわる諸問題を取り上げた。神奈川は月曜掲載の「意見」のページを「ニュースを読む」に改め、多角的な視点の提供を目指した。茨城も木曜に「オピニオン面」を新設。「インサイド記者の目」、「時論」などのコラムで構成した。

産経は従来のオピニオン面を1ページから2ページに拡充。また、新たに、各部部長らによる署名入りコラム「from Editor」を始めた。毎日は、最新ニュースの当事者に話を聞くインタビュー「急接近」を金曜に新設、「記者の目」と並べて掲載、複眼的視野を読者に提供した。各界で活躍する人が自ら語る「時代を駆ける」、論説委員による署名入りコラム「論説ノート」も新設。朝日は、週5日、朝刊オピニオン面を12段で展開。うち金曜の「衆論」では大学やシンクタンクの研究者に論説委員や編集委員が加わって討議した。読売は、デスクが署名入りで執筆する解説記事やコラムを新設した。

北海道は土曜夕刊に「編集委員報告」の掲載を始めた。札幌、函館、旭川、釧路の4本支社11人が交代で執筆。十勝は、スポーツ記者によるコラム「ベンチサイド」を新設。室蘭は新たに論説「心言辛言」と編集コラム「編集日誌」を週1回開設。記者コラムも充実させた。大分は月1回、総合面に「かぼす的複眼思考」の掲載を始めた。県出身の各界人士が執筆陣。

《解説面》解説面をたっぷりの紙幅で展開する傾向や、より分かりやすくする動きが強まった。毎日は、2、3面の総合面を4、5面まで拡充、「世の中ナビ」と称して展開した。山陰は、1個面を使った解説特集「ニュースアイ」を隔週で始めた。福井は「検証ふくい」を拡充。福井市内版でもキャラクターが掛け合いで疑問を解く「まちかどハテナ」を始めた。熊本は日曜の解説面「熊日フォーラム」を1ページから見開き2ページに拡充。読売は金曜朝刊に「デスクにきいてみよう」、朝日は「ニュースが分からん!ジュニア版」を土曜夕刊に開設した。

《ウェブ連携》産経は、ウェブサイトの特集企画「衝撃事件の核心」を本紙上「核心」として社会面で、同「ドラマ・企業攻防」を「底流 ニュースの裏側」として経済面で、それぞれ掲載し始めた。また、インターネットに関するニュースを報道する「WEB面」も新設した。北海道は、「どうしんウェブ」に掲載する動画ニュースから、週3回、おすすめコンテンツを紙面で紹介。上毛は、子育て世代向けの「ここん面」を開設、新設の読者参加型サイト「ここん」と連動させた。このほか、携帯サイトへの情報発信も各紙が取り組んだ。

夕刊に付加価値探る

《夕刊》北日本、南日本、沖縄、琉球が夕刊廃止。一方、新たな付加価値を探る動きも。東奥は「ゆうかん文化」面を新設、大分は一層の地元密着を図って「見る・聞く・知る」を1面で展開。

《地域を元気に》地域を元気にしようという企画も目立った。読売は土曜朝刊で「NEWSなおにぎり」を始めた。「読むと元気がわき出すコラム」がモットー。北海道は「560万人の笑顔」を設置。職場や学校などでとらえた人々の笑顔を紹介した。長崎も「120の笑顔」を掲載。山陰は、中山間地に生きる人々に寄り添った連載「希望の地へ―山陰ふるさと進化論」を始めた。

《子供・若者向け》デーリー東北は小学生以下向けNIE企画「北奥羽のこれが〝日本一〟」を掲載。また、長崎、熊本もNIE、教育関連ページを刷新。佐賀は高校生・大学生向けの「ヤング面」を刷新。彼らのフィーリングに合った紙面を目指した。静岡は若者に人気の特集「情熱細胞」を土曜朝刊でワイド化。

《政権交代》民主党中心の鳩山政権が誕生したのを機に、いくつかの地方紙が地元の問題に引き付けて特別企画を開始した。琉球の連載「〝呪縛〟の行方―普天間移設と鳩山政権」。道民生活がどう変わるかを、自治体に張り付き長期にわたって検証した北海道の「暮らしと政権交代」など。

《その他》裁判員裁判のスタートを機に、「容疑者・被告を犯人と決めつけないという基本姿勢を、記事の中でより分かりやすく示すことにした」(岩手日日)など改革姿勢をアピールする社告が目立った。(審査室)

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