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2010年 9月7日
政策戦わせて決着を
「菅×小沢」民主党代表選をめぐる社説
「密室談合」の動き批判
民主党代表選(14日投開票)が1日告示され、菅直人首相と小沢一郎前幹事長の一騎打ちとなった。小沢氏が8月26日に出馬を表明した後、鳩山由紀夫前首相の仲介で出馬回避が模索されたが、31日の菅・小沢会談は決裂した。小沢氏出馬表明から告示に至るまでの85本の社・論説は「政治とカネ」問題を抱えての出馬に疑問を呈しつつ密室での調整を批判、政策論争による決着を求めた。
「政治とカネ」疑惑晴れず
《出馬に疑問》 日経「『政治とカネ』の問題で十分なけじめがついていない小沢氏の出馬は疑問がぬぐえない。政策論を後回しにして主導権争いが激化する現状に違和感を抱く有権者も多いのではないか。(略)疑惑にほおかむりしたまま小沢氏が首相に就任すれば国政は大きく混乱しかねない」、毎日「『政治とカネ』の問題を抱えたまま、首相の『脱小沢』路線に反発しての出馬は大義を欠くと言わざるを得ない。政権交代を実現したさきの衆院選からわずか1年、むきだしの闘争が党を分裂状態に追い込み、経済が混迷を深める中で政治の混乱に一層、拍車をかける懸念は深刻である」、産経「一連の疑惑を晴らそうとせず、国政の最高指導者を目指す姿には、強い疑問を呈さざるを得ない。(略)信なくば政治は成り立たない。日本の最高指導者として不適格なことは明白である。(略)首相も参院選で大敗したのに、なぜ続投するのか。説得力ある説明に欠ける。さらに両氏以外の選択肢もなさそうな点に、日本が滅亡の淵(ふち)に立つ窮状が示されている」。
《対決は歓迎》 中日・東京「小沢氏の『政治とカネ』の問題を不問に付すことはできないが、立候補の動機が何であれ、代表選となることを歓迎したい。というのも、菅氏が何を目指すのか判然とせず、小沢氏と代表選を戦えば、国民の眼前で政策論争が活発に行われるからだ。(略)多少の混乱も、新しい『国のかたち』を実現する契機になるのなら、やむを得まい」、読売「与党第1党の党首選は首相選びに直結する。『脱小沢』か『親小沢』かという権力争奪の多数派工作に堕することなく、あるべき日本の針路を論じ合って雌雄を決してほしい。(略)この際、両氏は党分裂や政界再編に至る可能性に臆することなく、党の基本政策について徹底した議論を展開すべきだ」、岩手日報「代表選に向けては幾人かの候補の名前が挙がったが、最終的に小沢氏が出馬した。小沢氏が自身に近い候補者を出馬させて影響力を行使するよりは、はるかにわかりやすい構図だろう」。
《調整の失敗》 朝日「鳩山由紀夫前首相の一連の行動は理解に苦しむ。菅、小沢、鳩山の3氏によるかつての『トロイカ体制』に立ち戻って『挙党態勢』を構築するよう訴えた。(略)政治とカネの問題で引責した小沢氏とダブル辞任したばかりなのに、どういう脈絡からこうした発言が出てくるのかわからない。鳩山氏は身を慎むべきである」、熊本「『仲介役』を務めた鳩山由紀夫氏は、菅首相支持から一転して小沢氏支持を表明するなど、不可解としか言いようのない行動を取った。党内を混乱させた責任は大きいと言えよう」、西日本「もし何らかの合意が両者の間で成立して代表選が実施されなかったとすれば、それこそ『密室談合』の政治である。民主党が政権交代で決別を誓った『古い政治』そのものだ。その意味で『最悪のシナリオ』は回避された、と私たちは前向きに理解したい」、信毎「トップ会談で一本化が図られるようなことになれば〝密室政治〟との批判が一段と高まったことだろう。一度出馬を決めたからには、堂々と政策を戦わせて決着をつけるのが政治の王道である」。
政権立て直しの契機に
《決戦の意義》 北海道「菅、小沢両氏が真っ向から戦う以上は民主党政権の1年を総括し、立て直しの契機とすべきである。そこに今回の代表選の意義を見いだすほかはあるまい。(略)両氏は開かれた場で堂々の論戦をすべきである」、上毛・岐阜など「厳しい政治経済情勢下にありながら、なぜ党を二分する代表選に突入するのか。国民は、政権の負託をないがしろにした同党の振る舞いを、白けた思いで見詰めている。両候補は、国民の願いと厳しい視線を十分にわきまえて選挙戦に臨むべきだ。(略)徹底的に論議し、代表選後の政権運営の姿を明示してほしい」、神戸「両氏は、国家観、政治手法、政策をめぐる党内の違いを象徴する存在といえる。その2人が堂々と論戦を交わし、党員・サポーターの支持を得て、目指すべき党の方向性を定めることは極めて重い意味を持つ。(略)菅首相には消費税発言の真意や参院選敗北の総括を問い、小沢氏に対しては自らの『政治とカネ』の問題にどうけじめをつけるかを問う。代表選はその機会でもある」。(審査室)