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2010年 9月21日
本当の信任は実績で
菅民主党代表再選をめぐる社説
政策実現、挙党が不可欠
菅直人首相と小沢一郎前幹事長の一騎打ちとなった民主党代表選は、14日の臨時党大会で投開票され、菅首相が再選された。国会議員と地方議員、党員・サポーター票を合わせた獲得ポイントは、菅首相721、小沢氏491だった。党を二分し、しかも国会議員の半数近くが小沢氏を支持した激戦の後は、挙党態勢作りが課題となる。51本の社・論説が取り上げた。
求心力の低さを露呈
《消極的な支持》 読売「代表選での首相への支持は消極的なものに過ぎない。党内抗争によって、政権を担当して3か月余で首相が交代したり、1年間に3人目の首相が生まれたりするのは避けたい、という理由だ。国会議員の獲得票では、首相と小沢氏がほぼ互角だったことは、党内に首相の政権運営に根強い不満があることを示している」、毎日「政権政党としての責任感の欠如、未熟さを見せつけた代表選でもあった。参院選の敗北後、党内を掌握できなかった菅首相の責任も大きい。首相に投票した議員の中にも、その政治理念などに賛同したというより、『次々と首相を交代させるべきではない』といった理由だった人も少なくなかったろう。本来、圧倒的に優位なはずの現職首相が、ここまで国会議員票で拮抗(きっこう)したのは首相の党内求心力の乏しさを物語っている」、福島民報「現職首相に対して、一方の小沢氏は鳩山由紀夫前首相とともに『政治とカネ』などの責任をとって幹事長を退いた立場だった。通常なら、すんなり『菅首相続投』で不思議はなかった。参院選敗北の責任を含めて指導力への疑問や不満が解消せず、選挙での決着につながった。両氏の国会議員票は十二ポイント(六人分)差とほぼ互角だった。対立や分裂の火種はなお残る」、信毎「菅、小沢両氏の対決は、有権者の疑問に答えるような深い政策論議には至らなかった。結局のところ、『親小沢派』と『脱小沢派』の党内抗争を見せつけた印象がぬぐい切れない。代表選の地方票の数字は、多くの有権者が内向きの議論に終止符を打つことを望んだ結果だと受け止めるべきだろう」。
《挙党と「脱小沢」》 中日・東京「党を二分する激しい戦いではあったが、選挙後に両陣営の間にしこりが残り、政策実現の障害になるようなことがあっては困る。代表選の政治空白を埋めるためにも、菅氏は挙党態勢づくりを急ぎ、政策実現のスピードアップを図る気概を見せてほしい。日本を立て直すためなら、激しい論戦も無駄にはなるまい」、産経「代表選ではマニフェスト修正や消費税増税など主要政策に対する両者の考え方の違いが鮮明になった。マニフェストは見直さず、消費税増税は否定するという小沢氏や支持議員らの主張を取り入れれば、路線転換は図れない。政策面で『脱小沢』を進めることも不可欠である」、京都「菅氏は再選あいさつで『全員が自分の力をフルに発揮できる挙党態勢を作り上げたい』と力を込めた。『戦い終わればノーサイド』と口では言えても、激戦の後だけに党内融和を図るのは容易ではない」、愛媛「重要なのは、代表選の『戦後処理』。首相は今後の党運営に関し『お約束した通りノーサイドで』と述べたが、しこりは根深い。人事面での譲歩が挙党態勢と誤解されては困るが、小沢氏らの協力と理解を得る努力も続けなければ『チーム民主としてそれぞれが力を尽くす』(仙谷由人官房長官)体制の実現には程遠い」。
野党の協力を求めて
《政策がすべて》 朝日「鳩山政権の挫折、参院選での手痛い敗北を経て、民主党政権は実質ここからが再スタートとなる。『政権を交代させたのは間違いではなかった』と国民が実感できるよう、菅首相をはじめ全国会議員が、1年の反省を踏まえ、政権交代の初心にかえり、もう一度やり直すくらいの気構えで政権運営に臨まなければならない」、西日本「今回の代表選は『国民不在の政争劇』だったのか。それとも、混乱と迷走に区切りを付け、政権党としての責任を果たすためには避けて通れない『清算の過程』だったのか。その答えは、菅内閣と民主党が決意も新たに国民へ向き合う政治姿勢と、政権運営の実績を通じて主権者の判断を仰ぐしかあるまい」、日経「衆参両院の多数派が異なる『ねじれ国会』になっている。法案を成立させるには、自民党など野党各党の協力を得ることが不可欠だ。国会運営で政権が行き詰まる可能性があり、その巧拙は内閣の死命を制しかねない。首相は真剣に政策実現への協力を呼びかけてほしい」、北海道「ねじれ国会での審議のあり方は、単に菅政権の下での法案の成否という問題にとどまらない。政権交代を果たした日本の政治が『ねじれ』という新たな状況の下で民意をいかに反映できるかが問われている」。(審査室)