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2010年 10月19日
「法廷で決着」が民意
小沢氏の強制起訴決定をめぐる社説
〝政治とカネ〟一掃の時
小沢一郎・元民主党代表の資金管理団体の土地購入をめぐる政治資金規正法違反(虚偽記入)事件で、東京第5検察審査会は4日、再び小沢氏を起訴すべきだとする議決を公表、強制起訴が決まった。これに対し、小沢氏は離党や議員辞職を否定するとともに、議決は無効だとして取り消しを求める行政訴訟を起こした。90本を超える社・論説が検察審議決と小沢氏の責任を論じた。
審査過程の公開を
《議決の意義と課題》 西日本「嫌疑不十分で小沢氏を不起訴とした検察の判断に疑問を呈し、法廷で黒白をつけるよう司法に求めた今回の検察審査会の議決は、国民の当然の権利を行使したものとして尊重されなければならない」、読売「『有罪の可能性があるのに、検察官だけの判断で起訴しないのは不当で、公正な刑事裁判の法廷で黒白をつけるべきだ』とする検察審の指摘を、検察は重く受け止めなければならない」、南日本「秘書に任せていたと言えば、政治家は免責されるのか。(略)市民感覚を反映した議決であろう。これまでのような言い逃れが通じない時代になったことを、政治家は肝に銘じてもらいたい」、中日・東京「法廷で〝白黒〟を決着させることを選択したと考えてよい。むろん『起訴=黒』ではない。あくまで小沢氏は被告人となるのであり、犯人視すべきでない。推定無罪の大原則で考えることが、国民には求められる。しかし、市民が『起訴相当』とした理由にも耳を傾けざるを得ない」、岩手日報「『国民は裁判によって白黒をつける権利がある』などとする考え方は『素人』には極めて分かりやすい。半面で、この『分かりやすさ』は怖さでもある。小沢氏にかかわって確かに不可解なカネの流れがあるにせよ、それがストレートに刑事責任につながるものでないことは論を待たない」、愛媛「起訴のハードルが下がることについては懸念も示しておきたい。『起訴イコール有罪』とする風潮がある中で被告が被る不利益は大きく、冤罪(えんざい)を生む可能性もあるからだ。予断を排除できず感情的、懲罰的になりがちな『民意』の危険性も見えてきた。審査過程を公開して検証する仕組みを検討するべき時期だ」、北國「プロの法律家から見て、確実に有罪に持ち込むだけの材料がそろっていない状況下で、公判を維持し、政治資金規正法違反(虚偽記入)を立証していくのは相当の困難を伴う。プロの法解釈と市民感覚のズレをどう埋めていくのか、検察審査会制度の在り方も含めて、重い宿題が残された」。
《小沢氏の責任》 新潟「『政治とカネ』の問題を一掃するときである。小沢氏にその覚悟があるのなら、議員の職を辞して法廷に立つべきだ。そうでなければ積もりに積もった国民の政治不信は払拭(ふっしょく)されまい」、毎日「『古い体質』を象徴する政治とカネの問題を抱える小沢氏が与党の実力者として影響力を保ち続けることは問題がある。国会での究明と同時に、出処進退について、自らけじめをつけるべきである」、日経「潔白を主張する小沢氏が裁判で争う姿勢を示すのは当然だが、刑事被告人の立場になる以上、小沢氏は最低でも離党するのが筋である」、京都「小沢氏の対応は間違っているとしか思えない。自発的に離党するなり身を引く決断をすべきではないか。それが『国民の生活が第一』と訴え、政権交代を実現させた立役者の責務と考える国民は多いはずだ」、山陽「提訴は徹底抗戦の構えをより鮮明にして、身の潔白をアピールしたいのだろう。(略)しかし、小沢氏は『司法の場で事実関係を明らかにする』とも述べていたはずだ。それならば、強制起訴を免れようとせず、公判の中で主張するのが筋である」、産経「国民の目には時間稼ぎとしか映らない。強制起訴を導入した改正検察審査会法の制度批判も狙いだろう。(略)首相の座を争ったばかりの政治家が、国を訴える姿は異様としかいいようがない」。
首相は決別求めよ
《首相と民主党の対応》 朝日「菅直人首相と民主党は小沢一郎元代表に対し、政治的なけじめを強く求めなければならない。証人喚問に応じるなど国会での説明を促し、離党勧告か除名をする。最低限、それが必要だ」、中国「政府・民主党も『進退は本人の判断』などと逃げてはおれまい。(略)菅首相が指導力を発揮するべきである。まずは企業・団体献金の禁止など政治資金規正法の改正が急がれる。検察審査会が厳しい議決をしたのは、国会などで今回の事件を解明できなかったためともいえよう」、秋田「野党ばかりでなく、民主党内からも、小沢氏への離党勧告や除名処分を求める声が出始めている。自浄能力を問われているのだ。(略)菅直人首相は今のところ動向を見守る構えのようだが、求められているのは強いリーダーシップである」。(審査室)