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2011年 3月22日
国難を乗り越えよう
「東日本大震災」をめぐる社説
壊滅的被害、原発も深刻
11日に東北・関東地方を襲った巨大地震は、世界最大級のマグニチュード9.0。大津波で東北の太平洋沿岸地域は壊滅的打撃を受け、死者・不明2万人を超える未曽有の災害となった。東京電力の福島第一原子力発電所では原子炉が制御できなくなり、放射性物質放出という深刻な事態を招いた。計画停電で首都圏などの交通網も混乱、生活や経済への影響が続く。発生翌日から各紙の社・論説は連日この問題を取り上げた。
大地の猛威、なすすべなく
《激震・津波》福島民友「これまでに経験したことがない、想像を絶する揺れだった。(略)宮城県沖地震は30年以内の発生確率が99%とされていた。震源地から離れている本県にとっても影響は及ぶと考えていた。万一に備えてきたつもりだったが、大地の猛威の前にはなすすべがなかった」、岩手日報「津波の高さは10メートルに達したとみられる。住み慣れた家が車が、そして船までもが陸上に打ち上げられて、街は廃墟と化した。これほどの恐ろしさとは―。体の震えが止まらない。いつか来るかもしれない津波、いつ起きても不思議でない津波が現実になった」、河北「余震が続き、津波も繰り返し押し寄せる。『この世の地獄』としか言いようがない、むごたらしい光景に言葉を失う。この瞬間も、がれきの下で、ビルの屋上で、孤立した集落で、多くの人が救出を待っている。何とかしたいという気ばかり焦るが、未曽有の天災を前にして、われわれはあまりに無力だ」、神戸「『壊滅的な被害』。16年前の阪神・淡路大震災のときに使われ、もう聞きたくなかった言葉で、各地の状況が伝えられる。それもはるかに広範囲で起きている。沿岸部を襲った大津波のすさまじさは想像を絶するものだ」、信毎「なぜ、これほどひどい被害を出すことになったのか、揺れや津波など、今回の地震の仕組みを詳しく調べる必要がある。(略)『想定外』では済まされない事態だ」。
《原発事故》福島民報「未曽有の大地震が、本県の浜通りにある東京電力の原子力発電所に深刻な事態をもたらした。(略)地震、津波に加えて原発事故が現実となれば地域には想像を超える大災害となる。国も関係機関も総力を挙げて万全の対応を取らなければならない」、毎日「日本列島を襲った巨大地震の『想定外』は、津波などの1次的な被害にとどまらなかった。大地震でも健全性が保たれるはずだった原発で『炉心溶融』という重大トラブルが発生したとみられる。40年に及ぶ日本の原発史上、初の非常に深刻な事態である」、読売「地震が想定以上だったとしても、危機管理の甘さは厳しく問われるべきだ。原子力発電は日本の基幹的な電力源となってきた。だが、爆発の衝撃は、その位置づけを足元から揺るがしかねない」。
《救助・支援》北海道「直ちに手をつけなければならないことが無数にある。なによりもまず、人命救助と捜索、被災者の救援を続けなければならない。国民が一致協力し、国を挙げてこの危機を乗り越えていきたい」、中日・東京「数知れぬ人々が避難している。有感地震が百回を超える中で、不安に包まれている。早く食料や水、衣類など、必要な救援物資を被災者の手元に届けねばならない。ライフラインの〝切断〟が深刻だからだ」、朝日「物資は決定的に不足している。道路が寸断され、救援がまったく届いていない地域もある。急がねばならないのは、かろうじて難を逃れた人々が命をつなげるよう、必要な物資を届けることだ。(略)戦後最悪の自然災害と言われた阪神大震災に比べても、支援の届き方は少なく、遅い」。
経済活動の停滞も懸念
《非常事態》上毛・日本海など「東日本大震災の惨状が明らかになるにつれ、日本経済の先行きに対する悲観的な見方が強まっている。(略)東京電力などの計画停電(輪番停電)実施により、経済活動停滞が長びくのではないかとの懸念も広がる」、産経「『輪番停電』に踏み切るのは、電力供給が需要に追いつかない情勢となったためだ。(略)『国難』というべき大災害に、すべての国民が辛苦を分かち合うことも大切な支援だ。地震国日本の対応を各国が注目している。見事に立ち直ってみせよう」、西日本「『想像を絶する』という言葉があるが、私たちは今、まさにその現実に直面している。(略)ここで声を大にして力説したいのは、政府の責任と使命を中心として、政治が果たすべき役割である。(略)前代未聞の非常時だからこそ、政府と国民を結ぶ『信頼の絆』が、いまほど問われているときはない」、日経「まさに国家非常事態である。(略)政府はわが国のあらゆる力を結集し、国際社会の支援も受けてこうした事態に立ち向かわなくてはならない。与野党が政治休戦で結束するのはもちろん、経済界などの協力も不可欠だ。私たち一般国民も覚悟を決めてこの国難に対処したい」。(審査室)