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2012年 1月31日
消費増税へ決意鮮明
野田改造内閣発足をめぐる社説
身を切る行革が不可欠
野田佳彦首相は13日、改造内閣を発足させた。岡田克也民主党前幹事長を副総理兼社会保障と税の一体改革・行政改革担当相に起用、昨年12月に参院で問責決議を受けた一川保夫防衛相、山岡賢次国家公安委員長を含め5閣僚が交代した。首相は改造内閣について「逃げることのできない課題への取り組みを着実に推進するための最善かつ最強の布陣」と位置付け、消費増税シフトを鮮明にした。4か月余りでの内閣改造を50本を超す社・論説が取り上げた。
野田・岡田体制で攻勢に
《命運かかる》上毛・日本海など「一体改革と行政改革という政権の命運がかかっている二大課題の司令塔役を岡田氏に委ね、首相本人と二枚看板で難関を突破する戦略だ。慎重一辺倒でそろりそろりとスタートした首相が、一転して攻勢に打って出る意欲がにじみ出ている」、朝日「まずは早急に、政と官の身を削る道筋をつけなければならない。国家公務員の給与カット、独立行政法人の整理統合、特別会計の見直しなどは、消費増税に向けて待ったなしの課題だ。野党との溝をどう埋めるのか。ここは首相とともに、岡田氏の正念場である」、日経「参院で問責決議を受けた2閣僚の交代に重点があるのは明らかだが、岡田克也副総理の起用は社会保障と税の一体改革の実現に向けた野田佳彦首相の決意の表れだろう。野田・岡田体制で主要な政策課題への取り組みを加速してほしい」。
《未知数》産経「国家の危機となっている米軍普天間飛行場移設問題などを担う防衛相に、安全保障分野で実績の乏しい田中直紀氏を起用したことは、懸案を解決する姿勢をみせたとはいえない。相変わらず『党内融和』路線を維持した格好であり、極めて残念だ」、読売「田中氏は外交防衛委員長などを経験しているが、野党から『また素人で大丈夫か』と疑問の声が上がったように沖縄、安全保障政策の手腕は未知数だ。米軍普天間飛行場の移設問題など山積する防衛省の課題に立ち向かう内閣の『本気度』も疑われる」、琉球「田中氏は普天間飛行場の県内移設を推し進める姿勢を踏襲する一方、辺野古移設を検証する姿勢もにじませたが、防衛官僚の包囲網をかいくぐり、実行に移せるかは判然としない」。
《内憂外患》毎日「首相が消費増税を乗り切るには与野党協議を早期に開始し、軌道に乗せる必要がある。首相は記者会見で改めて野党が税制協議に応じることに期待を示した。(略)政府・民主党素案には足らざる部分がある。協議に加わり制度にみがきをかけるのが責任野党の役割であることを改めて指摘したい」、西日本「野党にも注文がある。結束すれば参院で与党をしのぐ『数の力』は何のために与えられたか―を冷静に考えてほしい。問責の威力を振りかざし、ひたすら衆院の解散・総選挙を求め、政権を揺さぶるためではあるまい。参院が『良識と再考の府』であるとすれば、いまこそ、その使命と機能を発揮するときである」、河北「対野党交渉が『外患』なら、民主党内にくすぶる増税反対論は『内憂』だ。小沢一郎元代表に近い議員は消費税増税関連法案が国会に提出される3月に向けて、爪を研いでいる。強制起訴された小沢氏の党員資格停止処分を幹事長として主導したのが岡田氏という因縁もある。離党者が続出するようなら即、政局となろう」、山陽「東日本大震災の復興では復興庁が来月発足の予定で、遅れていた取り組みが本格的に動きだす。政治は停滞を脱して前へ進まなければならない。与野党が建設的な議論を重ね、正面から課題に向き合うことが求められる」。
与野党ともに知恵絞れ
《増税の前に》北海道「震災復興や原発対策が進行中のいま、『避けて通れないから』の一点張りで消費税増税へ突進する大義はどこにあるのか。首相は消費税を政権の最重要課題に引き上げた理由をきちんと説明すべきだ」、信毎「最近の世論調査では、消費税増税の方針に説明不足を感じている人が多い。本格的な震災復興が始まる。円高が日本経済の足を引っ張っている。こんなときになぜ消費税増税を急ぐのか理解に苦しむ」、京都「民主党は3月の増税関連法案提出を目指しているが、併せて国家公務員給与や国会議員定数の削減など『身を切る』行政改革の断行が不可欠だ。野田首相が実施の目標時期を明言しなかったのは物足りない」、中日・東京「予算が足りず、消費税率を引き上げると言われても、死力を尽くした後でなければ、納得がいかない。優先順位を無視するから、国民の反発を招くのだ。野党側も増税に安易に協力する必要はないが、単に協議を拒否するのではなく、社会保障の全体像を描くための知恵を政府・与党とともに絞ってほしい」。(審査室)