表外漢字字体表のJIS反映に対する意見書
平成14年2月14日
符号化文字集合調査研究委員会
委員長
樺島 忠夫 殿
社団法人日本新聞協会
編集委員会
代表幹事早川 準一
第22期国語審議会の「表外漢字字体表」答申を受けたJIS文字コードの見直しについて、符号化文字集合調査研究委員会(新JCS委員会)の要請に応じて、若干の意見を申し述べます。
しんにょう、示へん、食へんの「3部首」の字体変更は望ましくない
先の国語審答申に向け、新聞協会は3部首について常用漢字に準じた部分字形を許容するように求めました。加盟社の字体調査を踏まえ、協会の総意として要望したものです。国語審が3部首の許容を打ち出したのはご承知の通りですが、JIS見直しに当たっては答申の趣旨を十分にご勘案のうえ判断されるようお願いするものです。
新JCS委員会が国語審答申を受け、JIS字体の見直しを検討されることに敬意を表します。印刷標準字体が示された以上、これを尊重して字体を見直すことは当然のことといえます。しかし変更によって、ユーザーに無用の混乱を生じさせないようにすることも大切です。これまでの規格の継続性にかんがみ、国語審が許容したものまで変更しなくてもよいのではないかと考えます。
今回、3部首については28字を対象に、(1)表外漢字字体表の例示字形に変更する、(2)現行JISの例示字形を維持する、という両論が示されています。28字は使用頻度の高い字種が多く、それだけにユーザーおよび読者が長年慣れ親しんできたものです。ここで、例示字形を変更することは、かえって混乱を拡大することになるのではないでしょうか。
例示字形はあくまで例示であり包摂の範囲内なら字体の差異は問わない、とのJISの基本的考え方は承知していますが、例示字形の独り歩きすなわち固定化につながることを危ぐします。当協会としては3部首の例示字形を変更しないよう求める立場ですが、例示字形を変更する場合でも、3部首については国語審が常用漢字型の部分字形を許容している旨、規格本文中に明記すべきであると考えます。