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「過重労働による健康障害防止のための総合対策」に対する意見書提出の件

平成 15年2月20日

厚生労働省
労働基準局長
松崎 朗 殿

社団法人日本新聞協会
労務委員会委員長 王鷲 幹雄

厚生労働省労働基準局長名の通達「過重労働による健康障害防止のための総合対策」(平成14年2月12日付)について、日本新聞協会労務委員会は、新聞・通信各社の報道活動に支障が生ずることのないよう、下記のとおり意見を申し述べます。

新聞・通信各社は、標記通達の趣旨である過重労働による健康障害防止対策の必要性については、十分認識しており、各種の健康確保対策等に自主的に取り組んでおります。

しかしながら、新聞業に働く者、特に取材・編集・制作活動などに従事する記者の場合、取材先の都合やニュース、事件に敏速に対応する必要性から、仕事と労働時間は自己裁量に委ねざるを得ず、時間外労働による一律的な規制はなじまないという職業上の特性があります。本通達により、こうした報道活動の実態と乖離した過度な行政指導が行われるとすれば、報道活動に多大な影響を及ぼすばかりか、民主主義社会の基幹メディアとして広く国民に、日々に発生する内外の広範な情報や多様な意見、論評等を正確かつ公正に提供するという新聞の社会的使命を脅かすことを憂慮しております。

「脳・心臓疾患の認定基準に関する専門検討会報告書」にも指摘されているように、業務の過重性は、労働時間のみによって評価されるものではなく、就労態様などの要因も含めて総合的に評価されるべきものと考えます。

 本通達によれば、「月45時間を超える時間外労働をさせた場合」、「月100時間を超える時間外労働を行わせた場合又は2か月間ないし6か月間の1か月平均の時間外労働を月80時間を超えて行わせた場合」は自動的に産業医等の助言指導・面接による保健指導等を講ずべきものとされ、産業医にも過度の負荷と責任を負わせるとともに、その対策を事業者に強く求めています。

貴省におかれましては、報道という職業上の特性を十分に勘案され、労働基準監督署等によって、時間外労働時間のみに着目した「事業者が講ずべき措置」を機械的に適用することのないよう、強く要請するものです。

以上

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