「放送局の開設の根本的基準(昭和25年電波監理委員会規則第21号)及び放送法施行規則(昭和25年電波監理委員会規則第10号)等に係る制度改正案」に対する意見
2003年12月25日
総務省が12月4日に発表し、意見募集した「放送局の開設の根本的基準(昭和25年電波監理委員会規則第21号)及び放送法施行規則(昭和25年電波監理委員会規則第10号)等に係る制度改正案」に対し、日本新聞協会メディア開発委員会として別紙の意見を提出します。
意見提出者
社団法人日本新聞協会メディア開発委員会
委員長 渡辺 良行
〒100-8543 東京都千代田区内幸町2-2-1 日本プレスセンタービル7階
電話:03-3591-4637(編集制作部開発担当)
以上
[別紙]
2003年12月25日
「放送局の開設の根本的基準(昭和25年電波監理委員会規則第21号)
及び放送法施行規則(昭和25年電波監理委員会規則第10号)等に係
る制度改正案」に対する意見
社団法人日本新聞協会
メディア開発委員会
日本新聞協会メディア開発委員会は、本年5月、貴省が「マスメディア集中排除原則(地上放送関係)の見直しに関する基本的考え方」を公表した際にも意見書を提出し、マスメディア集中排除原則、とりわけ同原則に含まれる「三事業支配の禁止」規定について、撤廃を含めた見直しを行うよう求めました。
今回貴省が示された制度改正案は、全体としてはマスメディア集中排除原則を緩和する方向でまとめられています。しかしながら、地上放送局間の出資規制緩和などの内容は限定的なものであり、とくに「三事業支配の禁止」規定の撤廃が今回の改正案にも盛り込まれなかったことは、当委員会としてまことに遺憾です。
「三事業支配の禁止」規定を存置する理由について、貴省は「新聞と放送の相互の間での連携は社会的影響力が大きく、特に地域における情報源の多様性が損なわれるおそれがある」との考え方を示していますが、同規定の制定当時と比べ現在のメディア環境は大きく変化しており、今後、新聞と放送の連携がさらに進むとしても、情報入手手段や言論の多元性、多様性は引き続き確保されると考えます。当委員会としては、貴省がこうした環境変化を十分に勘案することなく、旧来の考え方にのみ固執して現行制度を維持しようとしていることについて、大きな疑問を抱かざるをえません。現行制度でさえ「ニュース又は情報の独占的頒布を行うこととなるおそれ」がない場合には「三事業支配の禁止」規定の例外とするなど、同規定の適用にあたっては言論・情報の多様性の実態を踏まえた、柔軟な判断が必要であることを示しているからです。もし、貴省として今日的になお多様性を損なう「おそれ」があると想定するケースがあるのであれば、抽象論ではなく、その具体的事例を示して説明すべきではないでしょうか。
当委員会がこれまでマスメディア集中排除原則の撤廃や大幅緩和を求めてきた理由は、前回7月25日に提出した意見書(別添資料)に記載のとおりです。したがって、ここでは再びその内容を詳述することはしませんが、放送に対する公的規制は、混信防止対策など必要最小限にとどめるべきであり、また、新聞・通信社の放送事業への進出を制約することは、直接、間接を問わず、言論・表現の自由に対する行政府の介入や、国民の知る権利の制約につながるおそれがある、などの当委員会の指摘について再度十分に検討され、マスメディア集中排除原則の見直し、とくに「三事業支配の禁止」規定について撤廃を含めた見直しを行うよう、貴省にあらためて求めます。