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NHKのインターネット活用業務実施基準の変更の認可申請の取扱いに関する総務省の考え方に対する意見

2024年12月2日

一般社団法人日本新聞協会
メディア開発委員会

 日本新聞協会メディア開発委員会は、NHKのインターネット活用業務実施基準の変更の認可申請の取扱いに関する総務省の考え方に対し、意見を述べる。

Ⅲ(2)4.業務の実施に過大な費用を要するものでないこと(4ページ)

  • NHKの「インターネット活用業務実施基準」変更案は、改正放送法施行前の2025年度上半期の2号受信料財源業務の費用を「100億円を超えない」と規定している。これに対し、総務省は、「現行の実施基準と同水準であるため、引き続き、適切なものと認められる」との考えを示した。しかし、予算上限に対する費用の高止まりが指摘されており、現行と同水準であることをもって適切とする考え方には疑問を抱かざるをえない。2号業務の費用の大半を占める「理解増進情報」はなし崩し的な業務拡大が指摘され、ネット業務の必須業務化に伴い見直されることになった経緯もある。上半期の予算としての妥当性についてNHKに説明を求めるべきだ。

Ⅲ(3)1(2)市場の競争を阻害しないこと(6、7ページ)

  • 特殊な負担金である「受信料」を財源とするNHKと、購読料や広告収入等で運営する民間のメディアは財政基盤が異なる。考え方は「直ちに市場の競争を阻害する恐れは低い」としているが、強い違和感がある。両者には基本的には「公正な競争」は成り立ちえず、通常の独禁法・競争法的な評価はなじまないと考えるためだ。
  • 変更案は「市場の競争」への影響などについて諮問機関に見解を求めるとしているが、総務省は、メディアの多元性への「影響」および多元性の「確保」についても重視していることを実施基準に盛り込むようNHKに求めるべきだ。番組関連情報を定める「業務規程」の検証ではメディアの多元性を重視する方針が示されている。任意的配信業務も同様にすべきである。

Ⅲ(3)2(1)業務の種類、内容及び実施方法が適正かつ明確に定められていること(7、8ページ)

  • 放送法改正により、NHKのインターネット業務は「必要的配信業務」と「任意的配信業務」に分けられることになり、業務規程や実施基準などのルールも複雑化している。総務省は子会社業務も含めたネット業務の全体像をわかりやすく説明するようNHKに求めるべきだ。
  • 「3号受信料財源業務」は外部事業者を通じた「放送番組の編集上必要な資料」の配信が可能で、「放送番組の内容と密接な関連を有する」との要件がなく、必要的配信よりも幅広いコンテンツ展開が行われかねない。必要的配信の範囲を超えず、限定的に展開することを認可の条件とすべきだ。
  • NHKは必要的配信や任意的配信と別の枠組みで、「周知広報」を附帯業務として展開すると説明している。拡大解釈につながらないよう実施基準でも明確に規定するよう求めるべきだ。

以  上

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