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「学校図書館(室)での新聞配置状況に関するアンケート」結果

学校図書館(室)での新聞配置状況を調査、小中は3割台

2010年は「国民読書年」。文字・活字文化推進機構は、国民読書年の事業計画の中で、「子どもの言語力育成」活動の一つとして、「学校図書館新聞配備5か年計画」(仮称)を掲げています。これは、全国の公立小、中、高校に複数紙を公費で配置するというものです。昨今、新聞を読む効果として「読解力の向上」が挙げられています。新学習指導要領にも「言語活動の充実」「新聞活用教育」が明記され、小学校で2011年度、中学校で12年度から実施されることになりました。NIEの意義はいっそう高まっています。しかし、NIE実践校数は全国学校数の約1%。学校現場で教師や児童・生徒が新聞を手に取ることができる環境がどの程度整備されているのかはこれまで明らかではありませんでした。

新聞協会は昨年9月、同推進機構の意向を受け、現状把握の方策について新聞財団と協議し、9月末に09年度NIE実践指定校536校を対象に「学校図書館への新聞配置状況に関するアンケート」調査を実施しました。調査票作成などで新聞財団の協力を得ながら、経営業務部経営企画担当が報告書にまとめました。結果は12月9日、新聞協会会議室で開催した報告会「国民読書年を前に 学校と新聞はいま」で発表しました。

新聞財団ではこの調査結果をもとに、2010年1月21日、文科相あてに意見書を提出し公表しました。学校図書館への新聞配置の重要性にさらに理解を深めることを求めるとともに、全学校の図書館の実態・ニーズを速やかに調査のうえ、学校図書館の環境整備と必要な予算措置を含め新聞配置が進むよう、適切な政策の実現を求めています。同推進機構も、同様の内容で文科省に働きかけています。新聞財団の意見書はこちらをご覧ください。

調査概要と結果は、次のとおりです。

「学校図書館(室)での新聞配置状況に関するアンケート」結果報告

調査には、536校のうち、404校から回答があったが、うち400校分(74.6%)を有効回答として分析した。内訳は小学校144、中学校141、高校91、中高一貫19、小中併設4、特別支援1。小中からの回答が多かったが、都道府県別、学級規模別ともに、特に大きな偏りはなかった。NIE実践の新規校は179校、継続校は221校。報告書では、全校種分の回答をまとめているが、ここでは小、中、高、中高一貫校の結果を紹介する。

各校にはまず、「独自購読新聞」「NIE提供事業による新聞」が、それぞれどの程度、どこに配置されているかを尋ねた。結果は、小中ともに9割前後、高校、中高一貫校は全校が独自購読をしていたが、小学校は1紙のみが多いようだ。高校はほとんどが複数紙を購読。中学より高校の方が購読銘柄が増え、それにより、配置場所も多岐にわたっている。独自購読新聞は、高校では、職員室より図書館に多く置かれているが、小中の多くは、職員室に置かれている。一方、NIE提供事業で入手した新聞については、小中で、独自購読分より多くが図書館に置かれているが、その数より、学級や、多目的スペース、廊下に置く学校が多いようだ。高校でも、NIE紙面の配置場所として、学級、多目的スペース、廊下が挙がっている。

【小中の新聞配置の低さには、どんな背景があるのか】

新聞を図書館に配置している学校の割合は小35%、中38%。一方、高校は86%、中高一貫校は19校すべて(100%)。高校、中高一貫校ともに、前述のとおり、その多くが独自購読分である。

調査ではまた、図書館の管理を行う司書を置いているか否か、司書教諭が図書館活用授業を行っているか否かについても尋ねた(*注)。司書の配置は、文科省の全国調査(学校図書館の現状に関する調査、09年4月発表)の結果より、小中高平均で8ポイント高い51%だったが、高校が71%なのに対して、小、中は各43%と低かった。司書教諭が図書館を活用した授業を行っている割合は、小19%、中18%、高25%と総じて低かった。配置校で実際に図書館への新聞配置作業を行っている担当者も、必ずしも司書教諭ではなく、司書やNIE実践担当者だという傾向も分かった。

司書の有無と図書館への新聞配置の関係では、総じて、司書がいる方が新聞配置が進んでいる。小学校では「新聞の内容が難しく、高学年の集まる場所への配置が効果的」「子ども新聞があれば配置したい」との声が複数あり、司書がいても新聞を配置していない側面もあったが、非配置校からは、図書館に新聞配置をしない理由が延べ210件、新聞配置についての意見が94件寄せられた。「新聞をとる予算がない」「司書を置けず、図書館では管理できない」「図書館が不便な場所にある」「利用時間に制約がある」など、予算措置や図書館自体の不備を指摘する声が多数あった。「図書館が生徒が行き来する所ではない」「司書の常時配置が先決」といった表現の回答もあり、「図書館が昼休み以外施錠されている」現状も多数報告された。司書教諭は発令されていても、実際には担任などを兼務していて十分に図書館活用ができず、司書配置も制度化されていないため、十分に図書館が機能していないようだ。

図書館に新聞を配置している学校からも、予算削減の動きのほか、「NIE提供事業終了後の予算措置のめどがない」という声が多く寄せられた。独自購読部数がもともと多い高校でも、部数や銘柄が減少しつつあるとの声が複数あった。

配置校、非配置校ともに、NIE実践校として、特設コーナーを設け、さまざまな工夫をしながら新聞の配置場所を確保している。併せて、図書館の充実を望む声、図書館への新聞配置は有意義だという声も少なくなかった。しかし、NIE実践校という新聞活用に関心の高い学校でさえ、図書館への新聞配備は十分とは言い難い。予算不足や司書の不在など、学校図書館体制の不備が背景にあることも明らかになった。

司書教諭と学校図書館司書

学校図書館法では、12学級以上の学校には「学校図書館の専門的職務を掌らせるため、司書教諭を置かなければならない」と定める。文科省の調べでは、12学級以上の小中高とも95%以上で発令されている。一方、図書館の担当職員である学校図書館司書(非教諭)の配置は制度化されておらず、小中高全体で司書がいる学校の割合は43%。高校は71%と高く常勤職員の割合も8割を超えるが、小中は3割以下で非常勤職員の割合が7~ 8割。

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