誘拐報道の取り扱い方針、付記(警察庁の了解事項を含む)
1970(昭和45)年2月5日
第259回編集委員会
誘拐事件のうち、報道されることによって被害者の生命に危険が及ぶおそれのあるものについては、報道機関は捜査当局からすみやかにその情報の提供を受け、事件の内容を検討のうえ、その結果によっては報道を自制する協定(仮協定を含む)を結ぶ。ただし、これが、単に捜査上の便宜から乱用され、あるいは報道統制とならぬよう厳に注意する。
1970(昭和45)年2月5日
1982( 同 57)年5月27日修正
2000(平成12)年12月7日一部修正
第598回編集委員会
付記(警察庁の了解事項を含む)
1.協定締結までの手続き
- 人命に危険のおよぶおそれのある誘拐事件、またはこれに準ずる事件(恐かつ、不法監禁等で、被害者の生命に危険が予想される事件)が発生した場合は、捜査を担当する警察本部の責任者(部長または課長)が、当該警察本部の記者クラブに対し、クラブ幹事を通じて、各社間協定の締結を申し入れる。
この際、警察当局は事件に関する情報を提供し、協定申し入れの理由を明らかにする。 - 申し入れを受けた記者クラブはとりあえず仮協定を結んで取材・報道をひかえ、事件をただちに各本社編集責任者に連絡する。編集責任者が協定の可否を判断し、その了解が得られたのち、記者クラブにおいて報道(必要に応じて取材を含む)を自制する各社間協定(本協定)を結ぶ。仮協定は、人命の危険を防止するための暫定的な緊急措置であるから、すみやかに本協定にきりかえなければならない。ただし、仮協定の段階で、人命に危険のない事件であることが判明した場合は、本協定にいたらずにこれを解除する。
2.協定締結中における発表
協定(仮協定を含む)が締結されている間、当該警察本部の責任者は、捜査の経過をくわしく報道機関に発表する。取材方法については別途定める。
3.協定の解除
- 協定は、事件の被害者が保護もしくは発見されたときその他、取材、報道によって被害者の生命に危険のおよぶことがないと判断されたときに解除する。
- 解除の判断は、警察本部責任者と記者クラブ幹事が協議のうえ行うが、解除の時期は、記者クラブが決定する。
- 事件が未解決のまま長期にわたる場合は、記者クラブの幹事が警察本部の責任者と協定の取り扱いについて随時協議する。記者クラブはその結果にもとづき各社編集責任者の了解を得て、必要な措置をとる。
4.各社間協定の連絡
協定を締結した記者クラブ幹事は、各社間協定を周知するため、協定内容を共同、時事両通信社を通じてすみやかに全国各社に通知する。