ビデオテープ証拠申請・採用に関する日本新聞協会編集委員会見解
2003年(平成15年)3月19日
日本新聞協会編集委員会
最近、裁判でテレビ各社のニュースや番組のビデオテープが証拠として申請・採用されるケースが相次いでいる。われわれはこの事態が取材・報道の自由に重大な制約を招き、ひいては国民の知る権利を脅かすことにつながることを強く懸念する。
われわれ報道機関は常に報道のみを目的として取材活動を行ない、その取材内容も報道目的以外には使用しないという前提と実績に基づいて、情報提供者たる国民との信頼関係を築き上げてきた。しかし、ニュースや番組のビデオテープが裁判で証拠として申請・採用されれば、報道機関と取材対象者との信頼関係を損なう恐れが出てくる。
その結果、国民は報道機関の取材に応じなくなったり、自発的な情報提供を控えるようになり、将来にわたって取材・報道の自由が制約されかねない。国民の知る権利に応えて真実に迫るためには、取材の自由が不可欠である。
したがってわれわれは、憲法で保障された国民の知る権利を大きく侵害する恐れのある、裁判でのニュースや番組のビデオテープの証拠申請・採用を安易に行わないよう強く求めるものである。
以上